• 札幌も平均以下 道内小中学生の「塾代」が少ないワケ

    札幌市内の学習塾では多くの小中学生が勉強に励んでいた(ニスコプラス円山教室、3月10日撮影)

    北海道新聞 宇野沢デジタル委員が読み解く!

    3月初旬、まだ雪が残っていた真っ暗な道を歩いて、中学生が集まってきました。

    ここは、小中学生を対象とした学習塾「ニスコプラス」の円山教室(札幌市中央区)。近隣の中学校に通う生徒30人ほどが集まって、英語の授業が行われていました。取材した3月時点では中学1年生、4月から2年生になる学年の授業です。まだ、高校受験は先のはずですが、私語一つない教室で、先生の板書を熱心にノートに書き写す、ピリッとした緊張感が印象的でした。

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    教室を運営する「ニスコ」の担当者は、札幌市内の高校受験では内申点が重視されるため、上位校を目指す生徒は早い段階から塾に通って、対策を進めていると教えてくれました。「特に上位校を目指す生徒は競争が激烈です」。教室の入り口や壁には至るところに、合格実績が掲げられていました。「しっかり補習をして、内申点を引き上げたいという生徒が多いです。それに応えることが、(塾の)最大の売りになっています」

    私も30年前に経験した高校受験。試験日が近くなるにつれて、クラスの中でも会話が少なくなっていった、ピリピリした日々をふと思い出しました。国内の少子高齢化の進行が言われ続けて久しいですが、目標校への合格を目指す生徒の受験の厳しさは、今も変わらないようです。

    一般世帯が1年間にどんな商品・サービスにおカネを使っているかを調べた総務省「家計調査」には、「補習教育」という項目があります。学校とは別に塾や家庭教師、通信添削などのサービスに、どの程度の費用をかけているかが全国の地方別、都市別にわかります。この統計項目には、スポーツ教室や英会話などの習い事は含まれていません。北海道、札幌市の「補習教育」への支出金額を、全国と比較してみました。

    1世帯あたりの幼児・小中学の補修教育費

    「家計調査」の調査対象世帯には、子供がいる世帯も、いない世帯も入っています。「補習教育」は子どもがいない世帯はほぼゼロのはずです。調査の対象世帯内の子どもの数の違いが、結果を大きく左右するため、「18歳未満人員」が全国平均と同じ水準になるように補正しました。また、年によって振れ幅が大きいため、2017年から21年までの5年間の平均値を求めて比較しました。

    「幼児・小学校」と「中学校」の補習教育への支出金額は、北海道だけでなく札幌市だけに限定したデータでみても、全国平均を下回る水準でした。

    もっとも、グラフをよく見ると、いろいろなことが見えてきます。全国平均といっても、上回っているのは三大都市圏がある関東、東海、近畿の3地域のみです。大都市圏が全体の水準を引き上げているのがわかります。ただ、北海道は残りの7地域の中でも、補習教育への支出金額は少なく、沖縄と東北に次ぐ低い水準でした。

    一方、「幼児・小学校」と「中学校」とではやや傾向が違います。中学校補習教育だけをみれば、関東、東海、近畿の次に多いのが北海道でした。札幌市に限定すると全国平均とほぼ同じ水準まで引き上がります。北海道では「補習教育は中学生から」としている人が他の地域よりも多いようです。

    この点は、2021年5月に実施された「全国学力・学習状況調査」のアンケートからも見て取ることができます。

    学習塾や家庭教師に「教わっていない」と回答した割合

    設問は「学習塾の先生や家庭教師の先生に教わっていますか(インターネットを通じて教わっている場合も含む)」となっています。この設問に「教わっていない」と回答した割合を調べてみると、北海道内の小学6年生は63.4%に上りましたが、中学3年生では47.4%でした。中学3年生になると半数以上が、何らかの「補習教育」を受けていることがわかります。

    もっとも、北海道内の「教わっていない」という回答の割合は、小学6年生でも中学3年生でも、全国平均より10ポイント以上高くなっていました。その理由の一端は、同じ調査で示されている居住する地域別の数値に示されていました。

    学習塾や家庭教師に「教わっていない」と回答した割合

    道内でも「札幌、旭川、函館」では「教わっていない」との回答率は低く、自治体規模が小さくなるにつれて、その割合が高まっていました。

    もちろん、学習塾や家庭教師に教わることだけが、学力を高めるための方策ではありません。ただ、ここまでのデータからは、《1》北海道内は全国と比べて補習教育を利用し始めるタイミングが遅い《2》大都市か小規模自治体か、居住場所によって補習教育を受けている割合に差がある―という2点の傾向が見えてきます。

    これらの違いは、なぜ生じているのでしょうか。それぞれの現場に伺ってみました。

    少ない「中学受験」

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