伊達赤十字病院が6月で分娩停止 無期限、医師確保難しく 豊浦など1市3町カバー

継続的な人員確保が難しいなどの理由で出産対応を休止する伊達赤十字病院の産婦人科

【伊達】伊達赤十字病院(武智茂院長)は、産婦人科医の継続的な確保が難しくなる可能性があるため、7月から同科の出産対応を無期限で休止することを決めた。伊達市、豊浦町、洞爺湖町、壮瞥町の1市3町のエリアで、出産対応を行っているのは伊達赤十字病院だけ。身近な医療機関での出産ができなくなることについて、住民からは不安の声も出ている。

伊達赤十字病院の産婦人科は1940年に開設。現在は常勤医2人体制で年100~160件ほどの出産に対応してきた。ただ、伊達市内では20年前と比べ、4割ほど出生数が減少している。

産婦人科は全道的に医師不足が続いている。伊達赤十字病院は、現在の常勤医の高齢化などにより、今後は常勤医2人体制の維持が難しくなる可能性があり、安全確保の面からも出産対応を休止すると説明している。休止に伴い助産師などの継続的な確保も難しく、現段階では出産対応再開のメドはないという。

7月以降に出産予定の妊婦には本人の意向を確認したうえで、他病院を紹介する。妊婦健診や婦人科の手術などの外来診療は継続する。

休止は昨年から伊達赤十字側と伊達市が協議しながら検討し、3月に決定した。病院の経営企画課担当者は「これまで周産期医療の火を絶やさぬよう努めてきた。出産対応の休止はかなり苦渋の決断だった」とした。

伊達赤十字病院での出産対応休止により、周辺住民は室蘭市などの医療機関で出産する必要がある。通院には数十分かかり、妊婦や家族の負担は大きくなる。同病院で出産を経験した伊達市の金山あかねさん(31)は「不安なことが多い出産だからこそ、すぐに行ける地元の病院のほうが安心できる。そうした存在が休止してしまうのは残念」と話した。

西胆振の周産期医療は、地域周産期母子医療センターがある室蘭市の日鋼記念病院を核とし、伊達赤十字病院と製鉄記念室蘭病院が連携する形で維持してきた。道は今回の休止を受けて医療計画の見直しにつながる可能性もあるとしている。

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