室蘭の潜在待機児童最多45人 昨年度、蘭東地区で入所難しく

室蘭市内で希望する保育所に入ることができず入所を諦める「潜在待機児童」が、2021年度(3月1日)に前年度比73.1%増の45人となり、過去5年で最多になった。全市的には保育所定員に余裕が出ているものの、子育て世代が増える東室蘭駅周辺の蘭東地区では入所が難しくなっているため。地域ごとの子どもの数の変動に、保育所定員の調整が追い付いていないとみられる。

潜在待機児童は、保育所と子どものマッチングが困難なために起きることから「実質的な待機児童」と指摘される。市子育て支援課によると、21年度の潜在待機児童数は前年度比19人増の45人。このうち、市内を3地域に分けた場合、蘭東は36人、蘭西は8人、蘭北は1人だった。どの保育所にも入所できない待機児童は2年連続ゼロだった。

地域別の待機児童と潜在待機児童の合計数は、蘭西では減少しているが、蘭東は子育て世代の増加などにより増加傾向にある。19年度以降は、市全体の待機・潜在待機児童数の7割以上が蘭東地区になった。

蘭東では共働き世帯の増加に保育所の定員増が追い付かない状況になっている。さらに定員に余裕がある蘭西などの保育所には蘭東から預けることが現実的ではないため、蘭東で潜在待機児童が目立っているとみられる。

共働き定着により、保育所利用を求める世帯は今後も横ばいで推移する可能性が高い。ただ市は「安易に保育士や保育施設を増やすと、将来的にかえって人材や施設が過多になる恐れがある」とし、解消策を打ち出せていない。

青山剛市長は主要公約に子育て支援を掲げ、待機児童の解消を目指してきたが、3期目の任期を1年残して新たな課題に直面した格好だ。(高野裕美)

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