住居のない妊産婦の居場所、札幌に開設 助産師らが自立支援

住居のない産前産後の女性を受け入れる「リリア」の室内

経済的な事情などで住居がない産前産後の女性を受け入れる居住スペース「リリア」が10日、札幌市東区にオープンした。全国妊娠SOSネットワーク(東京)の研修を受けた助産師やソーシャルワーカーが入居者の相談に乗りながら、女性の自立を支援する。運営する社会福祉法人「麦の子会」(東区)によると、こうした施設は道内初。

妊娠後、仕事が続けられなくなったり、家に居場所がなくなったりして、住む場所を失った女性らが対象。原則、妊娠34週以降から出産後2カ月まで滞在できる。仮名でも利用できるが、18歳未満は保護者の同意が必要。

リリアは宿泊できる個室2部屋のほか、共用のキッチンや浴室、トイレを備える。滞在費は無料だが、食費は自己負担となる。助産師らは妊娠や出産、産後の生活に関する相談に乗り、必要に応じて産婦人科に同行する。生活保護や特別養子縁組を希望する妊婦には申請手続きを助言する。

麦の子会は昨年6月、妊娠に関する相談に電話やメールで応じる事業「にんしんSOSさっぽろ」を開始。今年2月末までに道内外から延べ441件の相談があった。病院に行ったことがないまま出産を間近に控えた妊婦もいたという。

リリアで10日行われた開所式で北川聡子理事長は「孤立した女性をサポートできる環境を整えたい」と話した。問い合わせは、にんしんSOSさっぽろ(電)080・4621・7722へ。(岩崎志帆)

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