• 子どもの泣き声や生活音 部屋探し、決め手は防音

    写真はイメージ(foly / PIXTA)
    まもなく転勤などで春の引っ越しシーズン。子どものいる家庭は、泣き声や跳びはねる音などで隣人に迷惑をかけないか防音が気になります。在宅勤務が増えて音に敏感になっている人も多いはずです。部屋探しのポイントは―。

    建物構造に注目 引き戸「確認を」 人間関係も大切

    中3と中1、小4、幼稚園年長の4人の子を育てる伊藤美也子さん(45)=釧路市=は苦い思い出があります。第1子の出産後、当時住んでいた苫小牧の木造アパートで下階の住人から「静かにして」と苦情がきたのです。

    防音じゅうたんとマットを2重に敷いて対策しました。でも、下から棒のようなもので床をつつかれ精神的に参ってしまいました。下階の住人は夜勤の仕事をしているようでした。子どもの泣き声はどうしようもなく、賃貸の一軒家に引っ越しました。それ以後、共同住宅には住んでいません。

    5歳と2歳の女の子を育てる釧路市の主婦亀井祐子さん(35)は転勤族です。鉄筋コンクリート造りのマンション1階に住んでいます。部屋選びでは子育て世帯が住んでいるかどうかが決め手になりました。「駐輪場にママチャリや子どもの自転車が置いてあるかを目安にした」と話します。子どもの夜泣きを気にして隣室のない角部屋を寝室にしているそうです。

    賃貸住宅仲介業の常口アトム営業推進グループ課長の萩原久士さん(45)=宅地建物取引士=は「音の感じ方は人それぞれ。ちょっとした音が人によってものすごい騒音に聞こえることもある。完璧な物件はありません」と話します。

    萩原久士さん
    萩原久士さん

    その上で「建物の構造に注目を」と助言します。防音面で無難なのは鉄筋コンクリート造り。気密性が高く音が漏れにくいです。ただ、地域によっては物件が少なく家賃は高めです。木造なら、工法に注目します。耐震性が高く暖かい一方で、音が反響しやすい工法もあります。

    室内の扉も要注意です。ドアの開閉音に関する苦情は多いのです。スライドするタイプは開閉時の音が響きやすく「開け閉めして確認を」と萩原さんは言います。

    子育て世帯が部屋を選ぶポイント

    物件選びでは、公園が徒歩圏内にあるかどうかもポイントです。室内で子どもが騒いだら公園に行くといいですね。ファミリー層が住んでいるかどうかも、可能な範囲でチェックをしましょう。萩原さんは「子育て世帯なら生活リズムが重なり、トラブルにつながりにくい」と話します。物件の間取りは2LDK以上が多ければ、ファミリー層も多い可能性があります。

    札幌市環境対策課が2021年10~11月、15歳以上の480人を対象に行った「生活環境に関するアンケート」によると、24.6%の人が近隣住宅の「うるさい音」で迷惑に感じたことがあると回答しました。課長の林康人さん(47)は「コロナ禍で自宅で過ごす人が増え、一定数の人が困っている可能性がある」とみています。

    騒音問題に詳しい八戸工業大名誉教授の橋本典久さん(音環境工学)は「節度と寛容、そして良い人間関係が鍵です」と話します。

    橋本典久さん
    橋本典久さん

    おもちゃが落ちる音やスリッパの「パタパタ」音など、軽いものがぶつかる軽量床衝撃音は、防音機能をうたうカーペットの効果が期待できます。泣き声は、隣室に接する壁に家具を置くことや窓に厚手のカーテンを付けることで音を低減できます。

    ですが、子どもが走ったり、跳びはねたりする音(重量床衝撃音)の低減は難しいです。「階下の住人と仲良くなり、人間関係を築くことも必要です」と橋本さんは言います。

    騒音トラブルは「お互いさま」と感じやすい隣室同士より、上下階の住人が圧倒的に多いとのこと。苦情がきても、信頼関係があれば深刻化しにくいそうです。苦情への対策を取った後も安心せず、「音は小さくなりましたか」と尋ねることが大切といいます。

    騒音トラブルを避けるために

    吸音グッズで対策を

    音漏れを少しでも防ぐため、防音対策グッズを使うことも検討してみては。DCMホーマック桑園店(札幌市中央区)の副店長、道下典昭さん(37)にグッズについて教えてもらいました。

    まずは床の対策。「防音のタイルマットなら、汚れてもすぐ洗えます」と道下さん。ずれにくい吸着加工が施された45センチ四方の4枚セットがあります。

    定番なのはクッション性のあるジョイントマットです。通常の厚さ1センチのものより2センチのものがお勧めだといいます。「乳幼児のけがの防止にもなります」

    音漏れを防ぐグッズ。ジョイントマットとフェルトボード、タイルマット
    音漏れを防ぐグッズ。ジョイントマット(左)とフェルトボード(中央)、タイルマット=札幌市中央区、DCMホーマック桑園店

    隣室への音対策として、子ども部屋やテレビの後ろの壁につける吸音効果のあるフェルトボードがあります。石こうピンなどで貼れます。玄関ドアや引き戸の開閉音は、戸当たりに貼るテープも効果が期待できます。はがせるため、賃貸物件でも使えるといいます。

    防音製品を選ぶ際、目安になるのが「ΔLL」(デルタエルエル)等級です。椅子を移動する音や、物が落ちる音といった軽量床衝撃音がどれだけ抑えられるかを示し、値が大きいほど性能が良いそうです。

    取材・文/有田麻子(北海道新聞記者)

    最新の記事

    【From 北海道新聞】

    Read More

    おすすめの関連記事

消費税の価格表記について

記事内の価格は基本的に総額(税込)表記です。2021年4月以前の記事に関しては税抜表記の場合もあります。