「2歳児マスクは非現実的」 釧路市内保育園、窒息などリスク懸念

室内でブロック遊びを楽しむ釧路さかえ保育園の2歳児クラスの子どもたち=8日(同園提供)

新型コロナウイルス感染急拡大で、政府が保育園児のマスク着用を一時的に推奨すると表明したことを受け、釧路市内の保育園では困惑が広がっている。「2歳未満児には推奨しない」とされたが、2歳児であっても息苦しさなどの不調を自ら訴えることは難しく、着用による窒息などのリスクが懸念されるためだ。保育園からは「2歳児がマスクを着けるのは現実的でない」と不満の声が漏れる。

「2歳児は言葉で的確に思いを伝えられず、保育士が表情からくみ取ることも多い。マスクをすると表情が見えなくなり、体調の変化などにも気づきにくくなる」。0~6歳の園児101人が通う釧路さかえ保育園の山本久美園長は、2歳児にマスクを着用させるデメリットをこう指摘する。

オミクロン株の急拡大を受け、同園では年明け以降、3歳以上の子どもは一律でマスクを着用することにした。それでも、山本園長は「2歳児にはこれまでと変わらずマスクを着けさせる予定はない」と話す。

釧路共栄保育園も、現状では2歳児にマスクを着用させる考えはないという。園内での感染拡大を防ぐには全ての子どもにマスクを着けてもらいたいところだが、真下浩二園長は「2歳児は息苦しくても自分でマスクを取るのは難しく、窒息の恐れがある。マスクの外側を触り、かえって感染のリスクを高めることにもなりかねない」と訴える。

厚生労働省が8日に発表したオミクロン株対策では、当初予定していた「2歳以上」と明示するのをやめ、一時的に保育園児のマスク着用を促すとした。ただ「2歳未満児には推奨しない」と明記されたため、実質的に「2歳以上は推奨」とも読み取れる。ある保育園の園長は「対応に悩む保護者から問い合わせの電話がいくつもあった。現場は混乱している」とこぼす。

4月に幼稚園へ入園予定の2歳の男児を育てる釧路市の原嶋麻子さん(38)も「2歳児はまだ言葉での意思疎通が難しく、マスクに慣れさせるのも簡単ではない。ただ周囲の目も気になるので、着ける練習もしないといけないと思う」と今後の対応に苦慮している。

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