畑作、雪遊び自然を伸び伸び 北斗の学童保育「まねきや」 古民家活用

雪が載ったかやぶき屋根の「まねきや」と代表の藤吉大志さん(左端)。冬は雪遊びが基本だ=17日

【北斗】築100年以上のかやぶき屋根の民家に、子どもたちの元気な声が響き渡るのは、市内市渡の多世代交流型放課後児童クラブ「かやぶきの家 まねきや」(学童保育)。屋内で子どもを預かる学童保育が多い中、冬場は雪遊び、夏場は野菜づくりや川遊びなど、たいていの日を自然の中で過ごす。隙間風で寒い建物内も走り回ればなんのその。「こんな学童保育があったらいい」と、保護者らが立ち上げたまねきやをのぞいた。

「ギョウジャニンニクみそ、食べるか、ご飯にのせたらうまいぞ」、「何それ」、「みんなで収穫しただろ、忘れたのかー」、「そうだった。うまい。もっとご飯にのせて」

昨年暮れ。まねきやで子どもたち12人とスタッフ2人が昼食を囲む。食後は自分たちで食器を洗う。学校や学年は異なるが、けんかもするほど仲が良いようだ。午前中のそり遊びがうそのように、午後も元気いっぱいに建物内を駆け回る。運営する一般社団法人「かやぶきの家 まねきや」代表の陶芸家藤吉大志さん(42)=七飯町在住=は、ほほ笑ましく見つめる。

この建物は1910年(明治43年)に建てられた農家の住宅。約150平方メートルの木造平屋建てで、90年まで雑貨店だった。2019年に所有者から取り壊しの相談を受けた函館の不動産業者は、「もったいない」と修復を決意。次女の小学校入学を控え「自然の中で生活できる学童保育」を探していた藤吉さんら4人が、所有者となった同不動産業者から建物を借り、20年4月に学童保育を始めた。

収穫食材は昼食に

昼​食​を​囲​む​子​ど​も​た​ち​。​自​分​た​ち​で​育​て​た​野​菜​を​用​い​る​こ​と​も​あ​る​=​昨​年​12月27​日​

昼​食​を​囲​む​子​ど​も​た​ち​。​自​分​た​ち​で​育​て​た​野​菜​を​用​い​る​こ​と​も​あ​る​=​昨​年​12月27​日​

同法人が近くに借りた約1千平方メートルの畑では、子どもたちとトマトやサツマイモ、小豆など約10種類を育てる。山菜採りにも出かけ、長期休みの際は収穫した食材を昼食に使う。火をおこして焼き芋を作ったり、取れたてのネギをあぶって丸かじりしたり。ここでマッチの使い方を覚えた児童もいる。「夏に海で遊んでくたくたになって帰ったのが楽しかった」と笑顔で話すのは、市内浜分小2年の高橋丈太郎君(8)だ。

かやぶき屋根は定期的な修復作業が必要なため、子どもたちも大人に交じってふき替え作業を手伝う。雨天などで建物内で過ごすときは、絵を描いたり、ピアノや将棋、駒に挑戦したり、思い思いに楽しむ。

「楽しみ見つけて」

現在の利用者は北斗市や七飯町、函館市の小学校に通う、1~6年までの計16人。遠方の児童はスタッフが放課後に学校へ迎えに行き、保護者が午後6時半までにまねきやへ迎えに来る。1日体験や長期休みの時だけの利用もできる。学童保育の月額利用料は一般的に北斗市内が千円、函館市内では1万円程度が多い。まねきやの2万2千円は高額だが、「自然の中で泥だらけになって遊べるのは子どものうちだけ。自分で楽しみを見つけられる子どもに育ってほしい、という思いに共感してくれる人もいる」と藤吉さんは話している。まねきやの問い合わせは藤吉さん(電)090・1389・0118へ。

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