たこのすべり台 函館最後の1基 経年劣化で撤去予定 コンクリート製 秘密基地感たっぷり 近隣住民から惜しむ声

函館市内で唯一残っている本通第1号児童公園の「たこのすべり台」

【函館】タコの形をした大型遊具「たこのすべり台」が、函館市内で残り1基になった。設置されている公園は、市民から「タコ公園」と呼ばれ長年親しまれてきたが、老朽化や安全性の観点から、3カ所のうち2カ所の公園で既に撤去されている。親しんでいた市民からは「さびしい」と惜しむ声も上がっている。

タコの脚をよじ登り、すべり台で下りたり、空洞部分をくぐり抜けたりして楽しむ「たこのすべり台」。市内で唯一残っている本通第1号児童公園に立ち寄った横山孝さん(73)は「タコの遊具は地元の人にとって目印。昔に比べたらだいぶ古くなってきたけど、なくなったら子どもたちもさびしいだろう」と話す。

「たこのすべり台」は1960年代ごろ、東京都内に設置されると人気が出て、全国の公園に広まった。市公園河川整備課によると、市内では高度経済成長期の宅地造成で公園の設置が進んだ70年代から設置され始めた。「最盛期に何基あったかは不明」(同課)だが、近年は日吉児童公園と本通第1号児童公園、富岡中央公園の3カ所に「たこのすべり台」が設置されていたという。

市は、国土交通省の「公園遊具の安全確保に関する指針」と公園施設協会の基準の改定を受け、2010年度から市内の公園遊具の点検を開始。「たこのすべり台」は定期的に補修を行ってきたが、コンクリートが経年劣化し骨組みの鉄筋がむき出しになるなど老朽化が進んできたことや、落下する可能性がある箇所にコンクリートが露出しているなど安全基準を満たさなない点が出てきたことから、見直しが必要になった。

3カ所の公園の中で最も改築・更新の優先順位が高かった富岡中央公園の「たこのすべり台」は、19年に撤去。新たにタコをモチーフにし滑り台やうんていなどを組み合わせた複合遊具が設置された。

「たこのすべり台」が2年前に撤去された富岡中央公園。タコをモチーフにした複合遊具が設置されている

「たこのすべり台」が2年前に撤去された富岡中央公園。タコをモチーフにした複合遊具が設置されている

同公園の複合遊具で1歳の息子を遊ばせていた30代の男性は「小さいころは、たこのすべり台でよく遊んだ。自分たちだけの秘密基地という感じで思い出深い。さびしさはあるが、安全性を考えると新しい遊具の方がいいのかも」と懐かしむ。

日吉児童公園では今年10月に撤去。近隣小学校へのアンケートで決まった複合遊具を設置するため、現在同公園は閉鎖されており、来年3月末から利用できるようになる。

同課によると、現在本通第1号児童公園にある「たこのすべり台」も2年後に撤去する予定だという。安全性の高い新たな「たこのすべり台」の設置も選択肢に、近隣住民にアンケートを行う予定だ。

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