• #21|身の回りの土を土壁に 先人に「有効活用」学ぶ

    左側の崩れかけているのが古い土壁、上方の張り出した茶色い壁が新しい土壁です。曲線部は難しいので野田さんにお任せし、平滑な部分や窓周りは自分たちも塗りました

    「ステキな家をつくろう」
    札幌在住の建築家、三木万裕子さんが、古民家をリノベーションして〝わが家〟をつくったときに学んだアイデアやノウハウをつづるコラム。


    自宅横に建つ築100年超えの馬小屋を自分たちのオフィスにするべく改修工事をしているさなか、壁の木の板を剥がすと土壁が現れました。

    かつて、建築材料は身の回りにあるものが使われていました。この壁もそうならば、敷地内の土が活用できるかもしれない。土壁の経験が豊富な、日高管内浦河町の野田左官店さんに相談したところ「使えそうだ」という話になりました。

    馬小屋に入って一番よく見える壁を塗ることにしました。まずは土の準備です。粘土層まで掘り、壁12平方メートル用に80キロの土を採取しました。粗いふるいにかけ、石や枝などを取り除きます。2日ほど天日で干し、小石のようにカチカチになったところでトンカチで砕き、2度目は目の細かいふるいにかけました。

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    こうして精製した土に、砂、海藻のり、壁のひび割れなどを防ぐ繊維材「藁(わら)スサ」、水を混ぜて塗っていきます。配合や土の質にもよるようですが、すくった途端にコテから滑り落ちてしまい、苦戦しました。

    塗り上げた壁は、土の持つ柔らかさや温かみを感じられます。色味は土を採取する場所によりさまざまで唯一無二のものです。崩れかけた既存の土壁は、新たな土壁と隣り合うように残しました。外壁も土壁にするか思案中です。

    精製から塗りまで左官職人さんに教えてもらった今回、土の可能性を無限に感じました。「地物」の土で日干しれんがを作り、かまどや外構に使うのも面白そうです。100年前の建物を壊さずに直すという選択をしたことで、先人の知恵を学び、この土地の持つ可能性を一つ生かすことができたと感じています。

    三木万裕子

    三木万裕子(1級建築士)

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    東京都内の建築設計事務所勤務を経て2013年に独立。「三木佐藤アーキ」を主宰し、建物のほか家具のデザインや製作も行う。札幌市内の古い農家の住宅を修復し、夫で建築家の佐藤圭さん、長男の千木(せんぼく)君と3人で暮らす。札幌市出身。

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