連載エッセー「ステキな家をつくろう」

#6|小さい家がいい 適正サイズで費用抑制

階段下の有効活用の例。扉の中が猫のトイレスペース兼隠れ家です。踊り場以降の階段の下は、玄関と一体になった土間になっており、猫たちと幼い娘さんの遊び場です(写真提供/三木万裕子さん)

階段下の有効活用の例。扉の中が猫のトイレスペース兼隠れ家です。踊り場以降の階段の下は、玄関と一体になった土間になっており、猫たちと幼い娘さんの遊び場です(写真提供/三木万裕子さん)

かつての家づくりは「大は小を兼ねる」の考え方でしたが、今は「小さくて住みよい」という選択も増えています。

わが家も購入当初、延べ面積140平方メートルあった築年の住宅の約3分の1を解体し、86平方メートルに減築リノベーション(改修)しました。

「適正」サイズの家の大きなメリットは費用面です。面積に比例する建築費用、光熱費、維持管理費を大幅に押さえることができます。また、戸建てなら庭や駐車スペース、排雪スペース、お隣さんとの距離もしっかり確保できますし、抑えた費用を、こだわりの素材や設備に投資することも出来ます。

家の大きさを「適正」にするには、暮らしに本当に必要な物を洗い出し、一つのスペースを幾通りにも使う方法があります。

例えば、洗濯機置き場を家族全員のクローゼットと兼用する方法。個室の収納スペースが少なくて済む上、洗濯物を運ぶ手間も省けます。あるいは、階段下スペースに、ゆったりした玄関土間を作り、幼い娘さんの遊び場兼猫の居場所とした例も。

これらは今まで設計した住宅で実現したアイデアで、お客さんと密に暮らしのイメージを膨らませることでどんどん出てきました。

わが家の場合は自宅と事務所を兼用していますが、折り畳めるデスクを移動することで、玄関や客間やリビングが事務所に早変わりします。

「住みよさ」は家族ごとに違います。それぞれに独自の最適な答えがあり、それを見つけるのが、家づくりの一番の楽しみではないかと思います。

三木万裕子さん

1級建築士

みき・まゆこ/東京都内の建築設計事務所勤務を経て2013年に独立。「三木佐藤アーキ」を主宰し、建物のほか家具のデザインや製作も行う。札幌市内の古い農家の住宅を修復し、夫で建築家の佐藤圭さん、長男の千木(せんぼく)君と3人で暮らす。札幌市出身。

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