連載エッセー「ステキな家をつくろう」

#5|暖房との付き合い方 木質燃料や薪 試行錯誤

薪ストーブは1階の玄関横に設置しました。放射熱で1階のれんが床が床暖房のように暖まり、吹抜けから上昇する暖気が2階のリビングを暖めます(写真提供/三木万裕子さん)

道民にとって、1年の半分近くお世話になる暖房は、住宅設備の中で最も重要です。私たちも、試行錯誤を繰り返しました。

Uターンして札幌で最初に住んだ広さ40平方メートルほどの賃貸マンションでは、備え付けのFFストーブを使っていました。どんなに寒くてもで一気に暖めるとすぐ快適になる一方、地球に優しい木質バイオマス燃料を使いたいという思いが募りました。

次に住んだ築25年の祖母の家は広く、とにかく寒かった。元々の灯油のパネルヒーターと床暖房はボイラーが壊れており、ランニングコストも膨大。長く住む予定はなかったのと、住宅街であったことも考慮し、薪ストーブより設置費用が安く、煙が少なく、間伐材などでできた燃料を使うペレットストーブを買いました。

炎に癒やされましたが、基本は端材も燃やせず、1日に10キロ米袋程の量の燃料を消費。燃料の置き場所や燃料費に悩まされました。自宅を建てた時は「今度こそ薪ストーブを」と意見は一致しました。

燃料の薪は工事で出た端材と、市が無料配布する剪定した街路樹の枝などを手に入れて、と思ったのですが…。夫は初めての薪割りで、斧が足の甲に刺さり、全治2カ月。前途多難な滑り出しでした。

火持ちのよい広葉樹材となると薪集めもなかなか難しく、現在7割は薪屋さんから購入しています。しかし薪をくべるのも楽しく、ほんわりした暖かさは格別。理想の暖房は、わが家の居心地をさらに良くしてくれます。

三木万裕子さん

1級建築士

みき・まゆこ/東京都内の建築設計事務所勤務を経て2013年に独立。「三木佐藤アーキ」を主宰し、建物のほか家具のデザインや製作も行う。札幌市内の古い農家の住宅を修復し、夫で建築家の佐藤圭さん、長男の千木(せんぼく)君と3人で暮らす。札幌市出身。

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