• 認可外保育施設も利用料補助へ 安全性に懸念の声 不公平感解消には期待

    政府は幼児教育・保育無償化の一環として、2019年10月から、認可外保育施設の利用料を補助することを決めた。全額無償化される認可保育所と比べ、不公平感が解消されるとの見方がある一方で、国の基準を満たしていない認可外保育施設を補助対象にする点について、専門家からは「子どもの安全が保障されなくなる」などと懸念の声も上がっている。


    政府の有識者会議「人生100年時代構想会議」が13日、幼児教育・保育無償化の概要をまとめた。

    それによると、対象は3~5歳がいる全世帯と、0~2歳がいる住民税非課税世帯。3~5歳児は、認定こども園と認可保育所が無料、幼稚園利用料は月2万5700円まで補助する。認可外保育施設は、企業主導型保育事業やベビーホテル、ベビーシッターも含めるとし、月3万7千円を上限に補助。0~2歳児は住民税非課税世帯に限り月4万2千円を上限に補助する。政府は当初、認可外は無償化の対象外とする方針だったが、認可のみを対象とするのは不公平との反発を受け、認可外も対象に加えた。

    認可外保育施設の一つ、企業主導型保育事業「こどもカンパニー大通園」(札幌市中央区)を運営する渡辺和寛さん(34)は「認可外の利用料が軽減されれば、認可外を預け先として検討する保護者が増えるのでは。保護者が働き方に応じて預け先を認可か認可外か選べるようになるのはいいことだと思う」。1歳の息子を預ける母親(41)も「家から近くて便利だが、保育料が高く負担だった。3歳から補助を得られるなら、経済的に助かる」と喜ぶ。

    補助は認可外施設向けの国の「指導監督基準」を満たすことが条件。ただ、保育士数や面積を定めた国の基準を満たさない施設についても5年間の猶予期間を設けて補助対象に含めるとしており、保育の質の確保に疑問の声が上がっている。

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    国は都道府県などにベビーホテルは年1回、その他の認可外施設は原則年1回の立ち入り調査を求めている。だが、厚生労働省の調査では、16年3月時点の立ち入り調査率は全体の7割程度。立ち入り調査した施設のうち、基準を満たした施設はベビーホテルが約5割、その他の認可外が約6割にとどまっている。

    札幌市の3月末時点のまとめでは、企業主導型保育事業を含む認可外施設147カ所のうち基準を満たした施設は約3割、旭川市も同35カ所のうち約2割。保育士数が基準を満たしていなかったり、乳幼児の健康診断が定期的に行われていない施設などがあった。

    厚生労働省によると、17年の保育施設の死亡事故8件のうち認可外施設で起きたものは4件。事故防止の観点からも、札幌市は「基準を満たさない施設には、できるだけ早く満たすよう指導したい」(子ども未来局)とするが、保育士不足も深刻な中、施設の改善がどこまで進むかは不透明だ。

    保育事故に詳しい寺町東子弁護士(東京)は「指導監督基準は、劣悪な施設を排除するために設けたもの。排除せずに、補助施設と認めてしまえば、保護者は良質な施設との区別が付かなくなってしまう。なぜ5年の温存期間が必要なのか」と批判。「都道府県などは来年10月までにすべての施設が基準を満たすよう努力してほしい」と強調する。(片山由紀)

    認可外保育施設
    児童福祉法に基づく都道府県知事などの認可を受けていない保育施設。このうち《1》夜8時以降の保育《2》宿泊を伴う保育《3》一時預かりの子どもが利用者の半数以上―のいずれかで常時運営している施設をベビーホテルという。2015年3月の厚生労働省の調査では認可外施設は全国に約7千カ所あり、約18万人が利用している。

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