• 休校中の子どもと一緒 テレワーク「難しい」

    新型コロナウイルスの影響で、道内でも在宅勤務(テレワーク)する人が増えている。ただ、休校中の子どものいる自宅で働くのは難しく、「仕事ができない」と悩む親は少なくない。外出自粛が続く中、ベビーシッターの利用も増えているという。

    集中できず進まぬ仕事/シッター利用も

    「集中できず、全く仕事が進まない」。札幌市中央区の女性会社員(36)は疲れた声で話す。広告関連会社で働く女性は4月から、休校中の小学1年の息子の世話をしながら在宅勤務を続ける。介護福祉士の夫は通常通り事業所に出勤しており、子どもの世話はもっぱら女性が担う。

    在宅勤務を始めた頃は、朝食後にリビングで仕事を開始。息子は隣で国語と算数のドリルを解き、終了後は動画鑑賞や読書などで自由に過ごした。だが「一人遊びも1時間が限界」で、女性の膝にのり、ノートパソコンのキーボタンを押し始めた。その後も「おなかすいた」「いつ終わる?」とたびたび話しかけ、女性はそのたびに仕事を中断しなければならなかった。

    「今は午前4~7時と午後9時以降の子どもが寝ている時間に集中して仕事をするしかない」と話す。

    札幌市内の社労士事務所で働く伊藤やよいさん(43)は感染拡大以降、小学1年と高校3年の子どもがいる自宅でたびたび仕事する。「職場の理解と自分自身の割り切りが必要だと感じる。仕事が進まず焦ることも多いが、子どもとの時間が増えたというプラス面もある」と前向きに話す。

    道内外でベビーシッターサービスを提供する「キッズライン」(東京)は3月に未就学児を育てる働く女性(対象224人)にアンケートを実施。子どもの世話をしながらの在宅勤務について76%が「集中できなかった」と回答した。国の補助制度の活用や会社の福利厚生でシッターを利用する人も増えたといい、同社広報は「第三者の力を借りる選択もある。家族だけで抱え込まないで」と呼びかける。

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    専門家がアドバイス

    子どものいる自宅でのテレワークについて専門家にアドバイスを聞いた。

    《職場と情報共有しよう》

    本間社会保険労務士事務所代表・本間あづみさん

    札幌中小企業支援センター「ひとサポ」でテレワークの導入相談を担当しています。感染予防のため、在宅勤務規定もなく急ごしらえで始まった企業がほとんどで、自宅の通信環境が未整備など、さまざまな面で課題が出ているのが現状です。テレワークを進める上で重要なのはコミュニケーション。1日の予定や仕事の進捗(しんちょく)など職場内で情報共有することが大事です。子どもの世話の予定も伝えておくと、いつ連絡するのがいいのか、連絡は電話がいいのかメールがいいのか判断もしやすい。子どものいる自宅でどう仕事しているか話すのも、現状を理解してもらいやすい。

    当事務所でも出勤人数を減らすため、輪番制でテレワークにしていますが、小さな子どものいる職員には強制せず、選択できるようにしています。娘は小学4年である程度大きいので、自宅で働く時は1日の仕事、勉強、遊ぶ時間を決め、お互いに自立的に過ごすことを大事にしています。テレワークは親の働く姿を見せる好機だと思います。

    《世話と勤務 両立不可能〉

    椎葉怜子さん
    日本テレワーク協会客員研究員・椎葉怜子さん

    小学1年と3歳の子どもがいる自宅で仕事をしていますが、日中はほぼ仕事ができず、子どもが寝ている早朝に集中して働いています。4月にFacebookに承認制グループ「CLUBレッツ☆子付きテレワーク」のページを作り、子どものいる自宅で働く各地の親たちと情報交換しています。夫婦でテレワークという人も多く、子どもの世話を午前・午後で分担して仕事をしているという家庭もあるようです。

    ただ、休校中の子どもの世話をしながら働くのは、本来のテレワークではない。テレワークは、子どもが保育所や学校に通っているのを前提に、通勤などの移動時間を減らして時間を有効活用し、育児・介護との両立をしやすくする働き方です。子どもの世話をしながら働くのはほぼ不可能と言え、通常の3割の仕事ができれば良い方ではないでしょうか。「仕事ができない」と自分を責める人もいます。悩む親には「負い目に感じないで」と伝えたい。企業には寛容な対応が求められます。

    取材・文/根岸寛子(北海道新聞記者)

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