Baby&Kid's
  • 2020/01/17

    #9|授乳のたび気分悪くなる 病気ではなく生理的現象

    「瀬川院長のすくすくカルテ」
    のえる小児科(札幌市豊平区)の瀬川院長が、日常診療の場でママ達から受ける様々な質問に答える連載コラム。
    毎月第2金曜日に北海道新聞朝刊「くらし(子育て)面」でお届けしています。

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    質問

    生後2カ月の男の子を母乳だけで育てています。出産時とその後の経過は母子ともに何も問題ありませんでしたが、1カ月ほど前から授乳の時に何とも言えない気分の悪さを覚えるようになりました。授乳するとすぐに気分が悪くなり、だいたい1、2分でよくなりますが、授乳のたびにそういう症状が出るので悩んでいます。

    回答

    授乳時に起きるこの症状は、「不快性射乳反射」という現象によるものと考えられます。あまり聞き慣れないと思いますが、これは2007年に初めて報告されたもので、医療関係者でも知らない人の方が多いかもしれません。この現象は昔からあったもので、私も同様の症状を訴えるお母さんを昔、何人か診たことがあります。07年以前はこの概念がなかったため、原因がわからず困ったことを覚えています。

    不快性射乳反射は病気ではなく、生理的現象です。赤ちゃんがおっぱいを吸うと、お母さんの脳に刺激が伝わり、二つのホルモンが出てきます。まずプロラクチンというホルモンによって乳腺で母乳が作られ、オキシトシンというホルモンの働きで母乳が噴出します。この一連の作用を「射乳反射」といいますが、これに伴って気分が悪くなる、何とも言えず不快になるという症状が一部の人に出るのです。

    一説では、射乳反射の時にドーパミンという神経伝達物質が一時的に低下するために起きるとされています。多くの場合、授乳を続けても数分以内で不快感などの症状はおさまってきます。また、症状は数カ月で徐々に軽くなる場合がある一方で、離乳するまで続く場合もあり、経過はさまざまです。

    薬物治療はあまり効果がありません。まずは、この症状が生理的現象であり、病気ではないということをよく理解しましょう。専門家はお母さんの気持ちに寄り添い、丁寧に母乳育児支援をすることが大切です。

    (瀬川雅史=のえる小児科院長)