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  • 知っていますか? いのちのバトンをつなぐ「さい帯血バンク」

    2021/03/25
    PR / 日本赤十字社 北海道さい帯血バンク
    ママと赤ちゃんを結ぶさい帯(へその緒)と胎盤の中に含まれる血液のことを「さい帯血」といいます。出産時にしか採取することができないこの貴重な血液は、白血病をはじめとする血液の病気などの治療に役立てることができます。さい帯血について、mamatalk読者が、産科施設や北海道さい帯血バンクで話を聞いてきました。

    さい帯血ってどうやって採取するの?
    mamatalk読者が専門家に聞きました

    (左)稲葉さんと娘さん (右)上田さん(撮影時のみマスクを外しています)

    今回、さい帯血の提供について話を聞くのは、上田麗美さんと稲葉綾香さん。上田さんは10歳と6歳の男の子のママ、稲葉さんには2歳の娘さんが1人います。

    上田さん 「さい帯血を提供した経験がありますが、どうやって採取されたのか、その後どのように使われているのか、よくわからないので気になっていました」

    稲葉さん 「もしも誰かの役に立てるなら、きちんと知ったうえで協力してみたいです」

    そこで向かったのは、札幌マタニティ・ウイメンズホスピタル(札幌市北区)。同病院で出産に立ち会っている看護副部長の佐々木理恵さんに、さい帯血の採取について説明してもらいました。

    新生児の人形を使い、わかりやすく丁寧に説明する佐々木さん

    佐々木さん 「さい帯血は、お母さんの胎盤と赤ちゃんを結ぶへその緒に流れています。出産して赤ちゃんとへその緒を切り離したら、へその緒の血管に針を刺し、へその緒と胎盤に残っている血液を採取します。この時、胎盤はまだお母さんのお腹の中にありますが、神経は通っていないので、痛みはまったく感じません。採取する量も60ml~150ml程度とそれほど多くないので、数分で済みます」

    上田さん 「長男を出産した時、採取についてはまったく気が付きませんでした」

    長男を出産した時のことを振り返りながら話を聞く上田さん
    (撮影時のみマスクを外しています)

    佐々木さん 「もちろん、出産時にトラブルがない場合にしか、さい帯血の採取は行いません。お母さんと赤ちゃんの安全が第一です。当院では、さい帯血バンクのことは、妊娠9カ月くらいの時期に、保健指導の一環として説明し、同意書にサインをした妊婦さんにのみ採取を行っています。約9割の妊婦さんが同意してくれていますよ」

    上田さん 「出産直後は、さい帯血のことを思い出す余裕はありませんでした。改めてどのように採取されたのか知ることができてよかったです」

    さい帯血は、どのように使われるの?

    続いては、「日本赤十字社 北海道さい帯血バンク」でお話を聞きます。ここは、協力産科施設から集まったさい帯血を検査・細胞処理し、移植用として凍結保存する施設。厚生労働大臣の許可を受けた公的バンクで、移植を必要とする患者さんのために使われます。

    案内してくれたのは、北海道さい帯血バンクの秋野光明さんと内藤友紀さん。まずは、さい帯血の役割を教えてもらいました。

    「白血病などの患者さんは、正常に血液を造ることができないため、健康な人から採取した血液を造る細胞『造血幹細胞』の移植が必要です。造血幹細胞は骨の中(骨髄)で造られます。よく知られている骨髄移植は、健康な人からこの骨髄を採取して病気の患者さんへ造血幹細胞を移植する方法です。さい帯血の中にも、赤ちゃんが大きくなるために造られた造血幹細胞が多く含まれているので、骨髄と同じように使用されます」と秋野さん。

    さらに、「さい帯血の移植件数は骨髄移植よりも多く、年間1,400人以上が受けています。ニーズが高まる一方、少子化などの影響で全国的に保管されているさい帯血が足りない状況です。一人でも多くの命を救うためには、赤ちゃんを産むお母さんたちの協力が必要です」と秋野さんは続けました。

    さい帯血を保管する液体窒素タンクも実際に見せてもらいました。「さい帯血は最長で10年間、液体窒素で凍結保管しています。1本当たりの量は25ml。これだけあれば、一人の人の命を救うことができます」と内藤さん。そして「採取量や血液の中に含まれる細胞数に厳しい基準があるため、バンクに届いたすべてのさい帯血が保管に至るわけではありません。もっとたくさんの方に知っていただき、さい帯血の提供が増えてくれたらというのが私たちの願いです」(内藤さん)。

    バンクの見学後、「さい帯血の提供がこんなに大切で役に立つものだとわかり、もっと広まってくれたらと思います」と上田さん。「2人目の出産を計画するときは、さい帯血の提供をしてみたいと思います。さい帯血の採取を行っている病院を調べることも大事ですね」と稲葉さんは話しました。

    質問を交えながら、内藤さんから説明を受ける2人

    母子ともにリスクはなく、安心安全。
    「命が生まれる場所から命を救いたい」

    さい帯血を採取・提供できるのはバンクと提携した産科施設に限られます。道内では札幌市9カ所、石狩市1カ所、旭川市1カ所の計11カ所(2021年3月現在)。

    さい帯血の提供に協力している札幌東豊病院(札幌市東区)の院長・犬走英介先生に、お話を聞きました。

    札幌東豊病院の院長・犬走英介先生(菅谷環撮影)

    「さい帯血の採取は、分娩の経過にもまったく影響がなく、一切の痛みも伴いません。自然分娩でも、帝王切開の場合でも採取は可能です。

    さい帯血の移植で、血液の病気を抱える患者さんの命が救われます。骨髄移植の場合、兄弟間でも4人に1人の確率でしか適合せず、血縁でなければ数百人から数万人に1人しか見つかりません。その点、さい帯血移植では適合率がはるかに高まります。またコロナ禍で骨髄提供者の移動が制限されるなど、ますますさい帯血の必要性が高まっていると聞いています。

    赤ちゃんが無事に生まれたら、へその緒はその役目を終え、通常は廃棄されるだけです。さい帯血の提供は、新しい命が生まれてくる病院からできる大きな社会貢献だと考え、私たちは北海道さい帯血バンクに協力しています。より多くの人にさい帯血を理解していただき、提供の輪が広がれば幸いです」

    出産前に考えておきたい、さい帯血の提供

    内藤さんが手にしているのが、凍結用バッグに入ったさい帯血の見本

    mamatalk読者のみなさんにとって、身近な「さい帯血」の話はいかがでしたか?

    母胎に命を宿し誕生させるだけでも奇跡のようなことですが、その際にもう一つの命を救うことができる、それがさい帯血の提供です。

    今、全国的にもさい帯血の保存数が不足しています。出産時にしかできないさい帯血の提供は、ママと赤ちゃんが一緒に行う初めての社会貢献です。ぜひ妊娠・出産の前に考えてみませんか。かかりつけの産婦人科や里帰り出産先の産科施設、さい帯血バンクのホームページなどで情報の収集をしてはどうでしょう。

    ◉問い合わせ先:日本赤十字社 北海道さい帯血バンク
    TEL.011-613-8765


    取材・文/菅谷環 撮影/國枝琢磨