• 2018/11/09

    8<どうぶつさいばん ライオンのしごと>ひとり裁判で熱演 大事なのは判決だけじゃない

    (撮影・松井聡美さん チェンマイ在住、札幌市出身)

     最近、息子に「弁護士って何?」と尋ねられ「ひとり裁判」をしてみせました。がぜん気合が入る私。記者時代、警視庁を1年半、司法を3年間担当したからです。

     息子の赤いミニカーを被告にし、青いミニカーの財布を盗んで逮捕された設定にしました。検察官として「犯行内容に同情の余地はありません」と言い切ったあとは、赤いミニカーになりきって被告人質問に答えました。最近失業したこと、犯行当日は娘の誕生日で、プレゼントを買うお金が欲しかったことを語りました。

     犯罪は、戦隊モノのアニメのように「悪者をやっつけておしまい」じゃない。取材で実感したことを伝えたくて考えたシナリオです。

     「ライオンのしごと」では、ヌーの子どもが母親を食べたライオンを訴えます。傍聴する動物たちは口々に被告を責めますが、ヌーのお母さんがライオンへ伝えた頼みごとが分かり、年取ったヌーや人間の証言で風向きが変わります。

     私も赤いミニカーの事情はくみ取ったものの、有罪を言い渡しました。そこで息子が手を挙げ「裁判長! 僕が会社をつくって赤いミニカーを雇います!」。そうだよね、裁判は終わっても、人生は続くもんね。

    (タイで=2015年、谷岡碧さん提供)

    「どうぶつさいばん ライオンのしごと」
    (竹田津実・作、あべ弘士・絵 偕成社)

     作者は上川管内東川町に住む獣医師で写真家、画家は旭川市の元動物園飼育員。タンザニアの草原でライオンがしたのは殺しか、仕事か、自然の摂理を考えます。馴染みの薄い動物たちについて調べるのも楽しい。

     PROFILE

    谷岡 碧(たにおか・みどり)
    2007年にテレビ東京へ入社、記者として秋葉原連続殺傷事件や東日本大震災の被災地を取材。12年に退社、チェンマイへ移住しNGOスタッフとして勤務。その後退職し17年に札幌へ帰郷、幼なじみのピアニストとユニット「enets」(エネッツ)を立ち上げ、絵本の読み聞かせとピアノ演奏によるコンサートを続けている。長男(4)と18年4月生まれの長女を育てる母として奮闘中。札幌市出身。33歳。

    【enetsの公式サイト】 http://enets.info/

     BACK NUMBER

    <1> <おつきさま こんばんは>満月が応援 タイで始まった孤軍奮闘育児
    <2> <くだもの>香りにうっとり切り口にがぶり ママの仕掛けは大成功
    <3> <よるくま>励ましの言葉に代えて 病気のママ友へ贈った1冊
    <4> <バスにのって>途中下車でも乗り換えても 行き先は自分しだい
    <5> <だめよ、デイビッド!>ほんとは叱りたくない 日本暮らしに戸惑う息子
    <6> <わたしがあかちゃんだったとき>ライバル登場に赤ちゃん返り 「あなたも大好き」伝えたいのに
    <7> <くまとやまねこ>幼なじみがくれた光 前へ進もう


    <絵本はママを育ててくれる>は、「週刊じぶん」で毎月第2金曜日に連載中のコラムです。
    ※2018年11月9日より掲載日が毎月第2金曜日へ変わりました。

    北海道新聞の20~40代向けページ「週刊じぶん」(金曜朝刊に掲載)は、親としてだけではなく、夫や妻、働き手など、さまざまな立場の皆さんに読んでいただきたいページです。一人の「自分」にかえって、誰かに共感したり、自分ゴトとして考えたり。そんな時間をつくるお手伝いをしています。


    【テーマは週替わり】 家族、社会、仕事、情報などの話題を週替わりで取り上げています。毎回掲載される2つの連載の筆者のほとんどは道内に住む子育て世代。いろいろな「じぶん」が、日々の楽しみややりがいを発信しています。