• 2018/04/14

    <くだもの> 香りにうっとり切り口にがぶり ママの仕掛けは大成功


    「絵本はママを育ててくれる」#2
    札幌で朗読活動を行う谷岡碧さんが、在京テレビ局記者を辞めて移住したタイでの子育てと、日々を支えた絵本についてつづります。


     マンゴー、スイカ、パイナップル…南国タイの良いところは、いつでもどこでも、安くておいしい果物が手に入ることでした。

     1歳ごろの息子や、タイで親しくなった日本人のママ友の子どもたちは、絵本「くだもの」が大好き。みんなで市場を歩いている時「読み聞かせをしながら、果物を切って見せたらどうだろう」と思いつきました。

     子どもとママが3人ずつ集まったある日。布をかけて隠しておいた果物を、本の陰から登場させると…! 子どもたちの目が、ぱあっと輝きました。小さな手が次々出てきてリンゴの丸さを確かめたり、ぶどうの水滴に触れてびっくりしたり、イチゴにかぶりついたり。触って、かいで、かじって、感覚を惜しみなく開き、夢中になっています。

     私がこんなふうにじっくり何かを観察したのは、いつだったろう? 新しい発見の喜びを、かつて私たち大人も味わったのです。

     最後に、大きなスイカをぱかっと切ってみせました。真っ赤な果肉が現れると、子どもたちはカブトムシみたいに吸いつきます。顔も服も手も、汁でべたべたにしながら食べたスイカは、どんなにおいしかったことでしょう。

    【写真説明】 好評につき、何度も行った「くだもの体験」。1歳だった長男遼(はる、左)は毎回大喜びでした(2015年撮影、谷岡さん提供)

    今回登場した絵本


    「くだもの」
    (平山和子・作 福音館書店)

    画面いっぱいの果物はみずみずしく、香りが漂ってきそう。一つ一つを指しながら「もも」「いちご」と教えれば、物には名前があることが分かるようになります。わが家の1冊には、あちこちに果物の汁がとんでいます。

    (2018年4月14日付 北海道新聞「週刊じぶん」掲載)

     PROFILE

    谷岡 碧(たにおか・みどり)
    2007年にテレビ東京へ入社、記者として秋葉原連続殺傷事件や東日本大震災の被災地を取材。12年に退社、チェンマイへ移住しNGOスタッフとして勤務。その後退職し17年に札幌へ帰郷、幼なじみのピアニストとユニット「enets」(エネッツ)を立ち上げ、絵本の読み聞かせとピアノ演奏によるコンサートを続けている。長男(4)と18年4月生まれの長女を育てる母として奮闘中。札幌市出身。33歳。

    enets公式サイト