• 2018/12/14

    9<あおくんときいろちゃん>ページに絵の具が点々 「夢中」を初体験

    (タイで=2015年、谷岡碧さん提供)

     うちにある「あおくんときいろちゃん」は、ページのあちこちに緑色の絵の具が飛び散っています。

     夫は昔からこの絵本の大ファンで、息子に読み聞かせる日を心待ちにしていました。「登場人物」は全てふぞろいの丸。心の動きで形や色が変わるのですが、息子はなかなか興味を示しませんでした。

     1歳半ごろ、青と黄色の絵の具をたっぷり出し「おててで混ぜてごらん」と言ったことがあります。2色が白い器の中で混ざり合い、絵本と同じ緑が現れた時の喜びようといったら! 息子の手が生んだその色は、初めて見たもののように私と夫の心も動かしました。

     作者レオーニも孫にお話をせがまれ、夢中で色付けしているうちにこの作品ができたそうです。大人も子どももわれを忘れ、心が寄り添ったからこそ、ふぞろいな丸がイキイキと動きだしたんですね。

     緑色の絵の具ができた後、当時住んでいたタイの家のテラスの壁にお絵描きしました。最後はホースで水をかけて消しながら、もうひと遊び! 4歳になった今も、息子は南国仕込みの豪快なお絵描きが大好きです。昨日は家のカーペットをオイルパステルで汚してくれました。このまだら模様もいつか良い思い出になるかしら。

    (タイで=2015年、谷岡碧さん提供)

    「あおくんときいろちゃん」
    (レオ・レオーニ作、藤田圭雄訳 至光社)

     あおくんときいろちゃんは仲が良すぎて混ざり合い、緑色に。途方に暮れますが、自分という「色」を認識するようにもなります。デザイナーだった作者も、このデビュー作で子どもに伝える役割と喜びを知ったのでしょう。

     

     PROFILE

    谷岡 碧(たにおか・みどり)
    2007年にテレビ東京へ入社、記者として秋葉原連続殺傷事件や東日本大震災の被災地を取材。12年に退社、チェンマイへ移住しNGOスタッフとして勤務。その後退職し17年に札幌へ帰郷、幼なじみのピアニストとユニット「enets」(エネッツ)を立ち上げ、絵本の読み聞かせとピアノ演奏によるコンサートを続けている。長男(4)と18年4月生まれの長女を育てる母として奮闘中。札幌市出身。33歳。

    【enetsの公式サイト】 http://enets.info/
     

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    <絵本はママを育ててくれる>は、「週刊じぶん」で毎月第2金曜日に連載中のコラムです。

    北海道新聞の20~40代向けページ「週刊じぶん」(金曜朝刊に掲載)は、親としてだけではなく、夫や妻、働き手など、さまざまな立場の皆さんに読んでいただきたいページです。一人の「自分」にかえって、誰かに共感したり、自分ゴトとして考えたり。そんな時間をつくるお手伝いをしています。


    【テーマは週替わり】 家族、社会、仕事、情報などの話題を週替わりで取り上げています。毎回掲載される2つの連載の筆者のほとんどは道内に住む子育て世代。いろいろな「じぶん」が、日々の楽しみややりがいを発信しています。