• 2019/10/07

    「2020教育改革」を知ろう(下) 自ら考え、表現する力育む 児童生徒、保護者、先生どう臨む 2氏に聞く

    2020年度からの教育改革を学ぶ2回目は、変わる小中高校の授業に児童生徒、保護者、学校の先生がどう臨めばいいのかを、教育コンサルタントの山口たくさんと、北海道教育大学副学長の玉井康之さんに聞きました。(北海道新聞記者 鹿内朗代、田鍋里奈)

    ▶︎「2020教育改革」を知ろう(上)はこちら

    偏差値で進路決めずに 教育コンサルタント・山口たくさん

    山口たくさんの話のポイント
    やまぐち・たく 1972年生まれ、47歳。東京都の進学塾講師や家庭教師をへて、理想の教育を求めてニュージーランドに移住。現地で日本人の教育相談を行っている。著書に「学校教育がガラッと変わるから、親が知るべき今から始める子どもの学び」(風鳴舎、2018年)がある。

     
     ――2020年度から、教育が変わります。

     「良い変化だと思います。私は約10年前まで東京で塾講師をしていました。子供たちが『先生、結局正解は何?』と聞く姿勢に疑問を持ちました。今、簡単な正解は人工知能が答える時代です。人間には、正解のない問いに臨む力、知識を使う力が必要です。私が住むニュージーランドでは20年ほど前から、今回日本で導入されるアクティブ・ラーニング(AL)型の授業を行っています。話し合いで問題を解決する教育です。その中で子供たちはたくましく成長しています」

     ――子供たちの「知識を使う力」はどうすればつきますか。

     「小学生のうちは好きなことを存分に続け、たくさんの経験をすることが大切です。いずれ大学入試も、個人の特性を重視するように変わる可能性があります。好きなことを続けることは、将来のためにもなるのです。同時に、読み書き計算や基本的な知識は身につけてください。活字を読みましょう」

     ――中学、高校ではどんなことを意識するべきですか。

     「中学、高校は論理的な思考力を身につける段階です。自分の考えを筋道立てて説明し、相手に『私はこう思う』と意見することが大切です。発言が難しい場合は思うだけでもオーケーです。パソコンは将来必ず使うので、基本的な技術を身につけると良いでしょう。高校生にお勧めなのは海外留学。海外で価値観が変わる体験ができます。自治体や国の補助金も活用しましょう。ボランティアなどの社会参加も大切です」

     ――進学先を選ぶ時に注意する点は。

     「中学生は、自分の将来について考え始める時期です。ぼんやりとでもいいので好きなことや、高校でどんな経験を積みたいのかを考えてください。偏差値だけで高校を選ぶのはやめましょう。高校生も同様です。『受験が楽だから私立文系大学で』などという決め方はダメです。将来、逆に苦労することになります」

     ――先生、保護者は子供にどう接するべきでしょう。

     「ALは自分の考えを言えることが前提の教育です。子供が『意見を言いたい』と思えるよう、自己肯定感を育てなくてはなりません。大人が子供を一人の人間として扱い、会話することが大切です。『一流大学に進み、有名企業に就職し―』という考え方は変えましょう。『将来困らないように』と、幼少期から子供に多くの習いごとをさせる人もいますが、例えば英語は高校生から学んでもきれいな発音になります。それよりも、子供自身がやりたいことを信じ、子供が自分らしく生きる力を育んでほしいと私は考えます」

    (聞き手・鹿内朗代)

    Next 主体性を伸ばす指導を 道教大副学長・玉井康之さん