• 2019/10/07

    「2020教育改革」を知ろう(上) 授業内容、大学入試を一新

    学校での勉強の内容が大きく変わろうとしています。文部科学省による教育改革により、2020年度から新しい学習指導要領がスタートします。どう変わり、どう臨めばいいのでしょうか。2回に分けて解説します。(北海道新聞記者 鹿内朗代)

     
     学習指導要領とは、文科省が小中高校で教えることを定めた基準のこと。全国どこの学校でも学習指導要領に従って授業の計画を立てています。

    文部科学省が考える2020年度教育改革のイメージ
    ▲クリック/タップするとPDFでご覧いただけます。

     Q1 なぜ学習指導要領が改訂されるの?

     A 時代の変化に教育内容を合わせるためです。

     今、グローバル化やスマートフォンの普及、人工知能(AI)の活用による技術革新が進み、社会が激しく変化しています。今後10~20年で、今ある仕事の半分が自動化されるとの専門家の予測もあります。日本で働く外国人が増え、多様な文化を持つ人と一緒に働く日も来るかもしれません。

     新学習指導要領について比較的分かりやすい説明をしている「政府広報オンライン」(https://www.gov-online.go.jp/)は改訂の目的について、「子供たちには自ら学び、自ら判断して行動し、よりよい社会や人生を切り開いていく力が求められている。学校での学びを通じ、子供たちが生きる力を育むために学習指導要領を改訂した」と説明しています。

     新学習指導要領は小学校では20年度、中学校では21年度から全面実施され、高校は22年度の入学生から実施されます。

     Q2 新学習指導要領で育む力とは?

     A 自分で考え、判断し、表現する能力です。

     これまでは「教室で学んだことをきちんと覚えているかどうか」で評価されることも多くありました。ですが、新学習指導要領では「学んだ知識と技能をもとに自分で考え、判断し、表現する能力」を育むことが重視されるといいます。学んだことを社会や人生に生かそうとする「学びに向かう力や人間性」も大切だと位置づけられました。

     そういった能力を伸ばすため、学校側には、子供たちが自ら調べたり、子供同士が一緒に話し合いながら学んだりする授業(アクティブ・ラーニング=AL)を行うよう求めています。

     Q3 勉強する内容はどう変わるの?

     A 小学校から英語を本格的に学びます。プログラミング教育も加わります。

     小学5、6年に英語の授業が導入され、成績も付けられます。中学と高校の英語の授業は英語で行うことが基本となります。高校卒業までに英語でコミュニケーションできるようになることを目指し、高校の英語の授業では英語によるスピーチや討論などの授業が強化されます。

     IT(情報技術)に強い人材を育成するため、コンピュータープログラムの世界に触れるプログラミング教育が小学校から必修化されます。高校では、世界と日本の近現代史を学ぶ「歴史総合」や、主権者教育を担う「公共」などの科目が新設されます。

     Q4 20年度は大学入試改革も行われるの?

     A 大学入学共通テストが導入されます。

     20年度の教育改革は、新学習指導要領の実施と、大学入学共通テストの導入が2本柱となっています。大学入学共通テストは、現在行われている大学入試センター試験に代わるものです。現行のマークシート方式に記述式問題が加わり、英語は「読む・聞く・話す・書く」の4技能が評価されるようになります。

     20年度は、ほぼ10年ごとにされてきた学習指導要領の改訂と、センター試験導入以来約30年ぶりの大学入試改革が重なる大きい節目となります。

    今改訂の狙いは? 解説書著者 合田さんに聞く 「他者との対話や協働」育む

     今回の学習指導要領改訂に関わり、新学習指導要領の解説書「学習指導要領の読み方・活(い)かし方」(教育開発研究所)を7月に出した合田哲雄(ごうだてつお)さん(現文部科学省初等中等教育局財務課長)に改訂の狙いなどを聞きました。

     ――新著で伝えたかったことは。

     「学習指導要領改訂のため、470人の有識者が中央教育審議会で440時間議論を重ねました。熱い議論を多くの人に伝えたいと思いました。中教審は、日本の教育が伝えてきた『自立』や『他者と対話や協働』は今の時代だからこそ大事だ、学びを進化させなければならない―との答申をまとめました。答申を基に新学習指導要領ができました」

     ――これからの子供に必要な力は何と考えますか。

     「人工知能(AI)が『分からない』と答えた時こそ、子供たちの出番です。人間の強みは、データがない曖昧な状況の中で、対話や協働を通じてより多くの人が納得できる答えを得ることです。そのために《1》情報を正確に理解する力《2》歴史をはじめ各教科の見方や考え方を活用して理解し、考えを表現する力《3》他者と対話したり協働したりする力が必要です。新学習指導要領はそうした力を育もうとしています。一流大学に行って官庁や企業のホワイトカラーになったら一生安泰という人生モデルはもう終わっています。学んだことを社会でどう生かし何を志すかが問われています」

    (2019年8月6日付 北海道新聞朝刊掲載記事)