〈あそぶ→そだつ〉#16|試行錯誤 発見する喜び
「あそぶ→そだつ」
遊びを通した⼦どもの発達について詳しい増⼭由⾹⾥さん(札幌国際⼤准教授)が、さまざまな遊びの意味を解説。北海道新聞朝刊「⼦育て⾯」で毎⽉第3⾦曜⽇に連載しています。1年ほど前に訪れた札幌市内の認定こども園で、1歳3カ月の男の子がマグネットのおもちゃで遊んでいました。表面は四角、三角などの形をした樹脂で、さまざまな色がついています。裏面が磁石です。
男の子は、表と裏のどちらがボードにくっつくのか試行錯誤しているようです。床に置いたかごからつかみ上げた時、どちら向きになっているかで、くっついたり床に落ちたりします。
このように、成功と失敗を繰り返すことで仕組みの理解に到達します。不思議だと感じるところから、くっつけたいという目的や意欲に発展することも大切です。大人が教えることは簡単ですが、自分で気がつく・発見することを大切に見守りたいですね。
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さて、マグネットの表裏の仕組みに気が付くと、今度は同じ色や形を並べたり組み合わせたりして、新しい図形を作るようになります。さらに、2歳すぎには具体的な物に近い形を作るようになります。
同じ園で遊んでいた2歳半の男の子は、「汽車」を作っていました。長い棒を線路に見立て、四角で車両を、円形で車輪をつくって完成です。二つの車輪は同じ色にするなど、迷いなく次々とパーツをつけていく姿に、イメージする力の発達を感じます。
出来上がった汽車をじっと見つめほほ笑むと、次にその汽車を動かそうと車両を押しますが、うまくいきません。これも大切な経験です。
遊びの中で、物のそれぞれの性質を知り、さらに試行錯誤することで何かを発見する喜びを経験した子どもは、その後も自分で考え、試し、自分なりの答えを探していくことが期待できるでしょう。
なお、小さな磁石は誤飲しないよう注意が必要です。
増山由香里(札幌国際大准教授=発達心理学)
1972年生まれ、岩見沢市出身。岩見沢東高から藤女子短大(当時)へ進み、幼稚園教諭、保育士資格を取得。保育現場で勤務後、北大に編入し、北大大学院に進んで修士課程修了。旭川大学短期大学部准教授などを経て2017年から札幌国際大人文学部准教授。保育現場での出合いから、おもちゃや絵本への関心を深めた。編著に「具材―ごっこ遊びを支える道具」(17年、庭プレス)がある
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