連載コラム「あそぶ→そだつ」第10回

【あそぶ→そだつ】雪山で身体能力アップ

お住まいの周辺に雪山はありますか。時間とともに変化する雪山は子どもにとって絶好の遊び場で、さまざまな身体の使い方を習得する優れた学びの場にもなります。

雪山は雪が積もればふかふかに、何人もが登ったり滑ったりすると硬くなり、解けて寒さが増すとツルツルになります。使えば使うほど変化し、以前登ったようには登れなくなります。子どもや大人は雪山の変化に合わせ、身体の使い方を変えなければいけません。

数年前の冬に訪れた札幌市内の認定こども園の敷地内で、除雪でできた大きな雪山で子どもたちが遊んでいました。建物の2階ほどの高さがあります。2、3歳くらいの子どもたちが登ったり、尻滑りしたり、たくましく遊んでいました。

雪山のてっぺんからは「やっほー」という声が聞こえました。3人の子どもが山の頂上を目指しています。少し急なので、手足を使いこなさなければ登れません。ある子はスイスイと、ある子は慎重に、そしてある子は足を滑らせて少し落ちてしまいました。

子どもたちは雪山のどこに手を置き、どこに足をかけたらよいか目で予想し、手や足元で確認しながら進んでいきます。私たちは日々、視覚や触覚などの五感やバランス感覚、手や足を動かそうとする筋肉や関節の感覚を、その場に合わせて整理しながら身体を使っています。雪山遊びで子どもたちは、そうした身体の感覚を整理する経験を積んでいるのです。

寒い日や雪の多い日、大人は外出をためらってしまいそうですが、子どもにとって戸外で遊ぶことは身体の使い方を学ぶ大事な機会ですし、心の開放にもなります。雪国ならではの貴重な遊び場を、子どもと楽しんでみましょう。

教えてくれたひと

増山由香里さん

札幌国際大准教授(発達心理学)

1972年生まれ、岩見沢市出身。岩見沢東高から藤女子短大(当時)へ進み、幼稚園教諭、保育士資格を取得。保育現場で勤務後、北大に編入し、北大大学院に進んで修士課程修了。旭川大学短期大学部准教授などを経て2017年から札幌国際大人文学部准教授。保育現場での出合いから、おもちゃや絵本への関心を深めた。編著に「具材―ごっこ遊びを支える道具」(17年、庭プレス)がある。

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