乳幼児の「早朝起き」予防、昼夜にメリハリを付けることが大切
写真はイメージ(rainmaker / PIXTA) 乳幼児が早朝に起きてしまうことに悩む保護者もいるでしょう。午前4~5時に目覚めれば、子どもの睡眠時間が十分か心配になり、一緒に起きる親も睡眠不足でつらい日々が続くことになります。子どもの眠りに詳しい専門家に、早朝に起きてしまう要因や対策方法を聞きました。「せめて6時までは寝ていてほしい…」。札幌市白石区の久保田あやかさん(34)の長男(2)は生後7カ月の春、午前4時前後に起きるようになりました。寝るように促しても、泣いたりおしゃべりしたりで寝てくれません。
「夫も起きないように気を使い、リビングで遊ばせていました」と振り返ります。そんな生活が4カ月ほども続き、久保田さん自身も寝不足で大変でした。この経験から乳幼児の睡眠に関心を持ち、睡眠習慣の改善をサポートする民間資格、小児スリープコンサルタントを取得。寝かしつけのコツを自身のインスタグラムで発信しています。
日中は太陽の光浴びて
山仲勇二郎さん 北海道大大学院教育学研究院准教授の山仲勇二郎さん(41)=時間生物学=によると、子どもが大人と比べて早く目が覚めるのは自然なことだといいます。人の体内時計には早起きが得意な朝型、遅くから活動的になる夜型などの個人差があり、思春期前までは朝型の傾向にあるためです。
また、起床の時刻は年齢にかかわらず春、夏にかけて早まりやすいのです。札幌市の日の出は、真夏は午前4時ごろ、真冬は同7時ごろ。太陽光には覚醒作用があり、起床後、朝日を浴びることで体内時計がリセットされます。
睡眠障害の一つに、起きたい時刻より早く起きてしまう「早朝覚醒」があります。乳幼児の早朝起きが睡眠障害に当てはまるかどうか、一概には言えません。山仲さんは「眠たくて元気に遊べないなど、日中の活動に影響が出ているかどうかを、見極めることが大事」と説明します。
早朝覚醒の要因として、自律神経のバランスが崩れていることが挙げられます。睡眠中は副交感神経活動、覚醒中は交感神経がそれぞれ活発になります。何らかのストレスや温度、騒音、光環境により、交感神経活動が早朝から活発になれば、早く目覚めてしまう可能性があるのです。
自律神経のバランスを保つには昼は明るく、夜は暗くとメリハリを付けることが大切です。起床時にカーテンを開けて光を浴び、日中は外や窓際など明るい場所で過ごしましょう。山仲さんは「夕方には照明をまぶしくない色に変え、就寝前はスマホなどのブルーライトを浴びない工夫も有効です」と話しています。
空腹で目覚める場合も
氏家武さん 氏家記念こどもクリニック(札幌市中央区)院長の氏家武さん(68)=児童精神科医=は子どもが早朝に起きた場合について「睡眠時間が足りていなければ、そのまま暗い寝室で過ごし再入眠させる努力をした方がいい」と助言します。
1日に必要な睡眠時間は1~2歳で11時間以上、3~5歳で10時間以上。「睡眠が少ないと、かんしゃくを起こしやすくなります」と氏家さん。
空腹で早朝に目が覚める場合もあります。乳幼児は一度に食べられる量が少ないため、氏家さんは「乳児なら、就寝前にたっぷり授乳する。幼児には寝る前に4度目の食事を与えてもいい」と話しています。
取材・文/有田麻子(北海道新聞記者)
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