連載コラム「絵本はママを育ててくれる」第5回
【だめよ、デイビッド!】仲直りに効きます
ほんとは叱りたくない、日本暮らしに戸惑う息子
息子が3歳になったころ、生活の拠点をタイのチェンマイから札幌へ移しました。同時に急増したのが、私の発する「だめよ!!」です。
例えばこんなふう。
大好きな泥遊びの後、タイでは服の上から水を浴びて終わりだったのに、日本に来たとたん「そのまま家に入っちゃだめ!」。家の中も庭も裸足(はだし)で走り回っていたのが、今は「靴はちゃんとはいて! 脱いだらそろえなさい!」
必死にしかる私への戸惑いや反発が限界に達したのか、その日の息子は朝からご機嫌斜め。騒ぐわ、汚すわ、言うことは聞かないわで、こちらも「だめ」のオンパレード。息子の混乱も分かるだけに、心底疲れ果てました。
こんな時は「だめよ、デイビッド!」に助けてもらおう。裸で外へ出て行っちゃう、フライパンをお玉でたたきまくる、おもちゃは散らかしっぱなし。実に楽しそうな表情を見ているうち、スーッと肩の力が抜けていきます。
「デイビッドとあなたは一緒だね。だめだめ言っちゃうお母さんもおんなじ」と笑ったら、息子の心もほぐれていくのが分かりました。最後は「大好きよ」と息子を抱きしめさせてくれたこの絵本、仲直りの特効薬です。
今回登場した絵本
「だめよ、デイビッド!」
デイビッド・シャノン作、小川仁央訳 評論社
裏表紙いっぱいに「No」の文字、扉には仁王立ちのママを描いた親目線の作品。育児のプレッシャーに悩む私たちも、実は“ダメ出し”される立場。無条件に「Yes!」を伝えてくれる子どもへのいとおしさが湧いてきます。
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