• 英国発祥 離乳食は手づかみで 赤ちゃん主導 食べる力育てる

    赤ちゃん自らが食べ物を手づかみし、自分のペースで食べるー。英国発祥の離乳食の進め方が、赤ちゃんの食事への意欲を高めると注目されています。家族の食事から、ゆでた野菜などを取り分けるため、ペースト状にしてスプーンで与える従来の方法に比べて親の負担は少ないです。離乳食が進まないと悩む保護者は多く、専門家は「離乳食の与え方の選択肢を知ってほしい」と話しています。

    「つぶさなくて、いいんですね」。4月下旬、札幌市内で開かれた離乳食講座。南区の団体職員山田裕子さん(37)は、テーブルに並んだ離乳食を前に、少し驚いた様子でつぶやきました。

    ゆでたブロッコリーやニンジン、焼き魚、納豆に小麦粉を加えて焼いたおやき…。いずれも手づかみで食べる離乳食。見た目は大人の食事と同じですが、味は付いていません。握っても崩れない硬さに調理し、しゃぶったり、かんだりしやすいよう長さ8cmほどの棒状にしてあります。

    山田さんの長女陽花梨=ひかり=ちゃん(生後5カ月)はブロッコリーを握り、なめ始めました。離乳食は始めておらず、食べ物を口に入れたのはこれが初めてでした。

    ブロッコリーを手づかみしなめる生後5ヶ月の赤ちゃん

    赤ちゃんは食べ物を手でつかんでなめて、どんな物か確認し、繰り返すうちに食べ始めます。誰だって突然、口に食べ物を入れられたら驚きますよね。赤ちゃんも自分の判断で食べ始めると、食事に積極的になります」。そう解説するのは母乳育児支援の国際資格「国際認定ラクテーション・コンサルタント」を持つ札幌市内の栄養士、引地千里さん(64)。母乳やミルクは赤ちゃんが求めるだけ与えることが大切といいます。

    講座は、のえる小児科(札幌市豊平区)が開いています。英国の助産師が提唱した「BLW(赤ちゃん主導の離乳)」と呼ばれる進め方に沿った内容です。4月に始めましたが、現在はコロナ対策で休講しています。

    BLWでは、赤ちゃんは家族と一緒に食卓を囲み、家族の食事から取り分けた食品を手づかみし、好きな量だけ食べます。2008年に英国で出版された入門書は20カ国で翻訳。日本語版は19年に出版され、その後、増刷もされました。

    医療関係者有志でつくる日本BLW協会の理事で小児科医の江田明日香さん(42)=神奈川県藤沢市=は「生後3~4カ月ごろから手に持ったものをなめるようになる。食べ物を自分で口に運び食べることは、もともと赤ちゃんに備わった力です」と強調します。

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    のど詰まりを心配する親もいますが、協会によると、赤ちゃんの手づかみが、大人がスプーンで食べさせるより窒息が起こりやすいという研究結果はありません。協会は「窒息のリスクは、どんな食べ物にもある。のどに物が詰まった時の対応を保護者が知っておくことが大切」としています。

    のえる小児科院長の瀬川雅史さん(64)は「親が熱心なあまり、赤ちゃんが欲しがっていないのに食べさせようとし、離乳食を嫌がるようになったケースが少なくありません。従来の手法も含め、離乳食の進め方には選択肢がある。それぞれの赤ちゃんに合った方法を選んでほしい」と話します。

    手づかみの離乳食、始めるポイントは
    食事に興味持つころ目安

    日本BLW協会によると、手づかみの離乳食は、食べ物に手を伸ばすなど食事に興味を持ち、まっすぐ座れるようになるころが開始の目安。生後6カ月ごろが多いそうです。

    テーブルで食事をする家庭では赤ちゃんが家族と食卓を囲めるように、足置き台のあるいすを用意しましょう。

    食事は、安全で食べやすい食品を取り分けようにしましょう。初期はアボカド、バナナなどのなめらかな食品、手羽元など柔らかく調理した肉も食べやすいです。鉄分の多い赤身の魚や肉を積極的にとると良いです。食品添加物入りや塩分、糖分を多く含む食品、のど詰まりしやすいナッツ類、ブドウなど小さく丸いものは避け、必ず大人が赤ちゃんの様子を見守りましょう。

    取材・文/佐竹直子(北海道新聞記者)

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