コロナ下 子どもの活動どこまで自粛?

感染を防ぐ利用法を伝える看板が設置されている公園。親子連れが滑り台を楽しんでいました=札幌市中央区の円山公園(中川明紀撮影)

新型コロナウイルスの感染拡大で道内でも緊急事態宣言が発令される中、成長期の子どもの遊びや習い事はどこまで自粛すればいいのでしょうか。保護者の声や専門家の助言から考えました。

遊び|少人数、親も雑談控える

子どもが公園で遊ぶ時の注意点

「公園に1人で行かせるのが怖い」。札幌市白石区のアルバイト従業員宮崎統子=もとこ=さん(39)は、小学2年の長女が公園に遊びに行く度に付き添い、ほかの子どもとはなるべく距離をとらせています。

公園で子どもたちがマスクをせず、おやつを食べながら遊んでいたり、密集して話したりしている姿に感染リスクを感じるためです。宮崎さんは「どこまで親が干渉していいのか分からない」と悩んでいます。

子どもたちは公園でどう遊べばよいのでしょう。国土交通省はコロナ下での心身のリフレッシュに公園を活用するよう勧める一方、「混んでいる時間や場所を避ける」「遊具で遊ぶ時はこまめに手洗いする」などの注意を呼びかけています。

釧路市は昨年の緊急事態宣言発令後、市内約260カ所の公園に国交省の注意事項を掲示しました。約2400カ所の公園を抱える札幌市は、独自に注意事項を告知するための画像データを作成しましたが、掲示は一部の公園にとどまっています。

公衆衛生学が専門の国際医療福祉大教授の和田耕治さん(46)は、子どもが公園で遊ぶ時の注意点として ①互いの子の体調を確認できる2、3人の少人数で遊ぶか、家族単位で行動する ②できるだけマスクをつける(2歳未満を除く)―などを挙げます。さらに「付き添いの大人同士の雑談が、最も感染リスクがある」と指摘します。

習い事|長時間接触は高リスク

感染リスクの高い習い事

習い事は控えた方がいいのか、判断に悩む保護者は多いです。6歳の娘を持つ道央の40代女性は、幼稚園から登園自粛を要請され、15日から娘と自宅で過ごしています。ピアノの個人レッスンと、7人ほどが集まる軽運動の教室に通わせていますが、「習い事も休むと行き場がなくなりかわいそう。でも感染は防ぎたい」ともんもんとています。

一方、習い事の事業者は、感染予防に苦慮しています。札幌市と近郊の約300カ所で書道教室を開く書峰社書道(札幌)は、子どもたちの手を取って筆遣いを指導するのをやめ、口頭のみとした。学童部長の清水良さん(48)は「対策をした上で、学ぶ場を与え続けるのが役目」と話します。札幌市内のサッカー教室の中にはオンライン講座に切り替えたところもあります。

緊急事態宣言に伴い、道は学校の部活動の原則休止を要請していますが、習い事には言及していません。道教委社会教育課は「習い事は中止は求めていないが、学校で控えている活動を例に判断してほしい」といいます。

感染リスクの高い習い事は、文部科学省の学校における「感染リスクの高い教育活動」の例が参考になります。室内で行う合唱や集団での美術作品制作、サッカーなど密集する場面のある運動、柔道などで長時間組み合ったり接触したりするのはリスクが高いとされています。

旭医大名誉教授・東寛さんに聞く
大人が安全な環境を

コロナ下の子どもとの向き合い方について、旭川医科大名誉教授で日本小児科学会新型コロナウイルス感染症対策ワーキンググループのメンバーの東寛さん(66)に聞きました。

東寛さん

東寛さん

――子どもの感染事例が少なかった従来株と、変異株との違いを教えてください。
「英国型の変異株は従来株より感染力が1.7倍ほど強く、15歳以下の子どもも今まで以上にかかりやすくなっています。ただ英国では日本よりかなり前に広がっていますが、重症化しやすいという報告はありません」

――子どもの感染を防ぐには、どうしたらよいでしょう。
「手洗いとマスクは絶対的に有効です。必要な理由を子どもに伝え、大人が見本を見せてください。小さい子は大人がまめに手指をきれいにしてあげましょう。また、子どもを抱いている時に誰かと話す場合は距離を取り、子どもが口に入れそうな物は清潔にするなど、安全な環境は大人がつくりましょう」

――コロナ下で心身の不調を訴える子どももいます。
「思うように外出できない、友達と話せないことは大きなストレスです。いつもより泣きやすくなったり、甘えたり、怒りやすくなったりする子もいます。そんな時は大人が、ゆっくり話を聞いてあげてください。スキンシップは心が安らぐので、添い寝したり、抱きしめるのも良いですね」

――保護者に伝えたいことは。
「変異株は幸いなことに子どもが重症化した事例はほとんど確認されていないので、過度な心配はいりません。親子で読み聞かせをしたり、公園で体を動かすなど、感染対策をしながら子どものストレスを軽減する生活をしましょう」(尾張めぐみ、佐竹直子)

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