動画を子育ての情報源に 抱っこや沐浴、遊び…NPOなど配信

子育て応援かざぐるまの配信動画のうち「目と目を合わせる~アイコンタクト」(2カ月児向け)の一場面

新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて札幌市全域に5月末まで「まん延防止等重点措置」が適用され、道内でも親が出産や育児について直接人に会って学ぶ機会が減っています。そうした中で注目を集めているのが、自治体や民間団体がインターネットで無料配信している子育てのノウハウを伝える動画です。子どもとの遊び方を含め100本以上公開している団体もあります。

子育て教室休止 「いつでも見られて便利」

紋別市内で生後6カ月の長男を育てる村井静さん(39)は、よくネットで子育ての動画を見るといいます。「抱っこひもの使い方や(便秘予防に)綿棒を使う肛門の刺激法など、実際に動きを見ないと分からないことだらけ。子育ての教室はコロナで開かれず、いつでも見られる動画は便利です」

札幌のNPO法人「子育て応援かざぐるま」は、ブログに106本(5月11日現在)の動画を載せています=URLは表の①=。内容は赤ちゃんとの接し方や童歌遊び・手遊びなどで、数分以内の短いものが中心。多くは赤ちゃんや乳幼児が出演していて親しみが湧き、イメージしやすいです。

赤ちゃんとの接し方の動画は月齢ごとに区分しています。0~1カ月児向けは8回にわたり沐浴(もくよく)を取り上げ、2カ月児向けは目と目を合わせて語り掛ける大事さ、8カ月児は「膝上抱き」などのテーマがあります。牛乳パックを使い1~2歳児用のいすを作る方法も紹介しています。

「布団の山登り」「たかいたかい」といった成長を促す遊びやベビーマッサージも多く載せました。5カ月児向けの足裏マッサージは「赤ちゃんが足底に触れるのを嫌がる状況が長く続くと、立位や座位も嫌がります。歩行準備として、かかとから指先に向けてたくさん触ってあげてください」と助言しています。

動画の大部分は、同団体が3月に発行した0~3歳児対象の「子育て応援ブック」と連動しています。B5判40ページで、適切な抱き方や歩行を促す遊びをイラストつきで解説。乳幼児の発達に詳しい北大准教授や小児科医が監修しました。2019年に続き2度目の発行で、今回はQRコードで動画を見られるようにしました。

同法人代表理事の山田智子さんは「コロナの影響で人と人とが関わりながら育児のコツを伝えづらくなりました。子育てに不安がある若い親世代に見てもらえるよう動画を活用しました」と話しています。応援ブックは札幌市内各区の「こそだてインフォメーション」で閲覧できるほか、1冊300円(送料別)で販売もしています。申し込みや問い合わせは専用フォーム(https://docs.google.com/forms/d/1K78FfQApt3ypRT5oAmBy3HtlKmUTcCqpNeVr4aKRz0E/viewform?edit_requested=true)へ。

札幌市の「さっぽろ子育て情報サイト」は母子衛生研究会(東京)の動画を掲載し、抱っこ、沐浴、おむつ交換、着替えについて説明しています=表②=。同サイトの別のページでは「イヤイヤ期を乗り切る」「親子で家事」など市内10区が作った子育てに役立つ動画が見られます=表③=。苫小牧市はYouTubeに、沐浴の解説動画を載せました=表④=。

① 子育て応援かざぐるまの動画一覧
https://kazadouga.blogspot.com/p/blog-page.html

② さっぽろ子育て情報サイト 母子衛生研究会の動画
https://kosodate.city.sapporo.jp/mokuteki/kenko/hokenjo/9982.html

③ さっぽろ子育て情報サイト 札幌市内10区制作の「動画で伝えるスマイルアイデア」
https://kosodate.city.sapporo.jp/mokuteki/manabu/kodomo_soudan/9953.html

④ 苫小牧市の動画「はじめての沐浴」案内ページ
https://www.city.tomakomai.hokkaido.jp/kenko/kosodate/sogo/mokuyoku.html

⑤ 千歳恵庭地域助産師会の「育児に役立つ動画」
https://chitoseeniwamidwife.amebaownd.com/pages/3876647/blog

千歳、恵庭両市の助産師でつくる千歳恵庭地域助産師会は、ホームページで抱っこや沐浴、授乳法を紹介する動画を公開中です=表⑤=。同会会長で「助産院はぐくみ」(千歳市)の渡部智佳子さんは「動画を通し妊産婦の不安が緩和され、地域の助産所を気軽に利用してもらえれば」と期待しています。

北海道医療大の川崎ゆかり助教(小児看護学)は「子育ての動画は何度でも見返せるので技術習得に効果的。ただ情報が一方通行で、動画によっては、なぜその手法が良いかの根拠が省略されている場合もあります。見るだけで終わらせず、動画制作者に質問できるといいですね。地域の事情に通じている地元の制作者だと相談しやすいのではないでしょうか」としています。

取材・文/町田誠(北海道新聞編集委員)

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