「ファミサポ」短時間でも対応 市民ボランティアが託児支援 国の補助事業

(写真はイメージ=PIXTA)

「幼稚園の送り迎えや帰宅後の預かりを頼みたい」「子どもが急病で保育園に預けられない」‐。そんなとき、研修を受けた市民ボランティアが子どもを一時的に有料で預かる国の補助事業「ファミリー・サポート・センター(ファミサポ)」を、道内でも複数の自治体が行っています。早朝や夜間、土・日曜も対応し短時間でも使えるのが特徴で、料金は民間のベビーシッターよりも安い場合がほとんどです。札幌市を例に詳細をまとめました。

道内62市町が実施 夜間土日も受け入れ

ファミサポは日常的に子どもを預ける基本事業と、急病や突然の残業時に使える緊急預かり事業があります。道によると昨年10月1日時点で道内62市町がファミサポを実施。うち48市町は基本事業のみで、緊急事業は札幌市や旭川市、胆振管内白老町など市町に限られます。厚生労働省によると、どちらの事業の内容も自治体間で大きな違いはありません。

札幌市は基本事業の「さっぽろ子育てサポートセンター(子サポ)」と緊急事業「市こども緊急サポートネットワーク(緊サポ)」があります=表①=。市内に住むか勤めており小学6年生以下の子どもがいる保護者が利用できます。いずれも無料の事前登録が必要。各区の保健センターなどで予約不要の登録説明会を平日は毎日開いており、子サポと緊サポの両方に登録できます。

札幌市ファミリー・サポート・センター事業の概要

子サポは市社協が運営し、①保育所・幼稚園や習い事の送迎②放課後や保育所・幼稚園から帰宅後の預かり③保護者の病気や外出時の預かり‐などで使えます。

依頼者は子サポ(☎011・623・2415)に連絡し、子サポが自宅の近くなど依頼者の希望を踏まえ預かる人を紹介。依頼者と預け先が事前に顔合わせした上で支援が決まります。原則預かる人の自宅で子を見守り、1カ月以上先の予約はできません。料金は30分350円からで、曜日や時間帯により異なります。

緊サポはNPO法人北海道子育て支援ワーカーズ(札幌)が運営しています。子の急病や突然の残業で預け先がない時に利用でき、病児以外は宿泊預かりもあります。

依頼者は預ける前日か当日(宿泊は前日正午まで)に緊サポ(☎011・621・6626)へ連絡。緊サポが対応できる人を探し、依頼者宅で子どもを世話します。新型コロナ対策として発熱やだるさ、息苦しさがある子の預かりは休止中。利用は60分以上で料金は子サポより高めです。

いずれも料金は依頼者が預かる人に直接支払います。市の担当者は「お金のやりとりはありますがサービスの売買ではなく、双方の信頼関係で成り立つ子育て支援の仕組みです」と強調しています。

市によると、昨年度の依頼希望の登録者は子サポ7151人、緊サポ7864人。利用件数は子サポ6498件、緊サポ246件。コロナで親子の在宅時間が長く、いずれも前年度より減りました。2019年度の利用は子サポ1万272件、緊サポ1698件でした。

札幌市では認可保育所や幼稚園などにも一時的に子を預けられますが、1日単位で、短時間だけの利用はできません=表②=。

一時預かりが可能な札幌市の施設

子サポの主任アドバイザーの本田優子さんによると、依頼者は30、40代の母親が多く、預かる人は子育てを経験した50~70代の女性が大部分。「家事の合間や産後の体調不良時に預けたいとの依頼が多く、コロナ後はテレワーク中の利用も増えました。施設での集団保育と違い、家庭的な雰囲気で預かれます」と説明します。

小学1年の娘と幼稚園に通う3歳の息子がいる中央区の主婦(42)は3年前から自分の通院や娘の用事の際、子サポに息子を預けています。預け先は近所の60代女性1人に限っており、「親身に見てくれるので安心感があり、50回以上は預けました。私には子育ての頼れる先輩で、第2の実家の母のようです」と話します。

子どもを預かるボランティアになるには所定の研修の受講が必要です。問い合わせは運営団体や各市町へ。

取材・文/町田誠(北海道新聞 くらし報道部編集委員)

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