• #7|育児中もキャリアは消えない しんどくても書き続ける理由

    「晴れ ときどき子育て日和」#7
    札幌市で朗読活動を行い、2018~19年に北海道新聞で「絵本はママを育ててくれる」を連載していた谷岡碧さんが、2人の子どもの母となった日々を綴ります。(バックナンバーはこちら


    「娘には、性差が不平等な負担を運命づける社会で生きてほしくない」

    前回、子どもを持つ女性の立場からジェンダーについて書きました。思いをまとめようと考え続け、周囲の声を聞き取るほどに書くモチベーションは「怒り」へ傾き、夫は「なんだか僕が怒られてるみたい」としょんぼり。70代の母も「女性の忍耐こそが家族や社会を支えているのよ」と顔を曇らせました。

    やがて、フェミニストの女性へのお決まりの批判の言葉―例えば「おまえは怒りっぽくて男嫌いで、被害者意識でいっぱいだ」と、誰かに言われ続けている気分に…。フェミニズムがアメリカで生まれてから220年。なのに今もなお、権利向上の声を上げるのはこんなに苦しいのですね。原稿がアップされた後も「口をつぐんでいる方が気楽だった…」と悶々としていたのですが、読んで下さった方からは切実な感想が寄せられました。

    専門職として約15年働いた後、育児との両立の難しさからいったん退職した女性は、求職のため訪れたハローワークで「はい、パートさんね」と初めから〝区分〟されました。「育児中だというだけで正規で働く道はないのかと愕然とした」と伝えてくれました。

    パートとして再就職したある女性は、草むしりなどの雑用を押し付けられることもあるそうです。「契約上は私の仕事ではないけれど『パートでしょ? この前も子どもが熱出して休んだよね?』という無言の圧力を感じ屈してしまう」と打ち明けてくれました。

    会社を経営する夫にサポートを求められ、自らの仕事を辞めた女性はこう言います。「夫が大リーガーになったら妻は喜んでついて行くでしょ、っていうのが日本の価値観。アメリカでは大統領の妻だって仕事を辞めていないのに」

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    先ごろスイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが男女の格差を数値化して発表した「ジェンダーギャップ指数2021」で日本は156カ国中120位、先進7か国では前回報告に続き最下位。高い教育を受けてキャリアを積み、意欲もある女性の能力を正当に認めない社会であることは、世界的に見ても際立っています。

    救いだったのは、多くの方から「すでに子どもたちの価値観は変容しているのでは」という感想が寄せられたことです。非正規雇用であれ、女性の就業率が上がり「働く母、家事をする父」を見て育つ子どもたちは、古い「性別役割分業」の発想に縛られない社会を築いていくはずです。

    220年前に声を上げた女性たちがいたからこそ、教育の平等や選挙権、就職の機会の平等が勝ち取られ、私も恩恵を享受してきました。

    口をつぐむのは簡単。闘うのは気力も体力も使う。けれど、現代を生きる私たちの声も同じように未来を作るのだと信じています。たとえ小さな声だとしても、こうして書き続けていこうと思っています。

     PROFILE

    谷岡 碧(たにおか・みどり)
    2012年にテレビ東京を退社後、タイへ移住してNGOで勤務。17年に帰国後は札幌へ住み、幼なじみと読み聞かせユニット「エネッツ」を結成。21年春から、主婦と生活社の女性向けサイト「CHANTO WEB」でライターとしても活動中。夫と小学1年生の長男、2歳の長女と暮らす。札幌市出身、36歳。

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