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  • 日本脳炎ワクチン品薄で予約制限…接種どうすればいい?

    (写真はイメージ=PIXTA)
    日本脳炎を予防するワクチンが全国的に品薄状態になっています。製造トラブルで一時的に出荷停止となったためです。厚生労働省は、小児期に接種する4回のうち1、2回の接種を優先するよう、1月に自治体へ通知。これを受けて、道内の医療機関でも予約制限を始めたところが増えてきました。年度内は供給量不足の状態が続くと予測されており、予防接種に影響が出る人も少なくなさそうです。3回目以降の接種を先延ばししても大丈夫でしょうか? 専門家に聞きました。

    「1年後に延期を」

    「日本脳炎ワクチンが数量不足のため、3回目以降の接種は翌年に予約延期を」。札幌市北区の浜谷ゆりさん(34)は4月、かかりつけの小児科から予約の一時休止を知らせるメールが届き、驚きました。長女が4歳になる5月に3回目を接種しようと思っていたからです。

    日本脳炎ワクチンは確実な免疫をつけるため4回接種します。厚生労働省は標準的な接種時期として、3歳で2回、4歳で1回の接種(基礎免疫)を受けた後、9~10歳で1回の接種(追加免疫)を勧めています。浜谷さんは、これまで国が勧める接種スケジュールに沿って受けてきました。それだけに、「3回目接種が予定より1年延期となって大丈夫か」と不安に感じています。

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    全国的に品薄…なぜ?

    今回のワクチン不足の原因は、日本脳炎ワクチンを製造する国内2社のうち1社で、昨年11月に安全上のトラブルからワクチン製造が一時停止したためです。厚生労働省は1月15日付で、21年度前半はワクチンの供給量が大幅に減り、出荷調整が行われる見込みと発表。医療機関では供給が安定するまで、4回接種のうち2回の接種を優先するよう通知しました。

    ワクチンの供給量不足の状態が年度内は続くと予測されています。これを受け、札幌市豊平区ののえる小児科では今月、1、2回接種を優先することなどをホームページに掲示しました。瀬川雅史院長は「まだワクチンに余裕はあるが、今後の入荷量がどの程度になるか未定のため」と話します。

    接種延期は大丈夫?

    本来3、4回目を接種するはずだったのに、延期させて大丈夫かと心配になる保護者は少なくないと思います。

    これに対し、日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会メンバーの津川毅さん=札医大小児科=は「最初の2回を接種していればウイルスを中和できる免疫(抗体)はできているため、3回目以降の接種が先延ばしとなっても、それほど心配はない」と話します。

    道内では日本脳炎の患者はでておらず、ウイルスを媒介する蚊(コガタアカイエカ)は生息していないとされます。ただ、近年の温暖化により蚊の生息域の拡大の可能性が指摘されているほか、西日本では高齢者を中心に年間10人前後の発症報告があり、道外での感染の可能性はあります。

    そのため、津川さんは、気になる保護者に対し「蚊に刺されないことが予防策。蚊の活動が活発な夏場は虫よけ剤の使用や、肌の露出の少ない服を着るなど工夫しましょう」とアドバイスします。

    北海道小児科医会常任理事の多米淳さん=札幌・円山ため小児科院長=は「国からは来年にはワクチンが安定供給されると聞いている。過度に怖がらず、ワクチン供給が整ったら忘れずに接種してほしい」と呼びかけています。(根岸寛子)

    日本脳炎
    厚生労働省などによると、日本脳炎は、日本脳炎ウイルスに感染したブタを刺したコガタアカイエカ(蚊の一種)が、さらに人を刺すことでうつる感染症。感染しても症状が出ない場合がほとんどで、発症するのはおよそ100~1千人に1人とされる。ただ、発症すると急な発熱や頭痛、吐き気に続き、けいれんや意識障害を伴う脳炎を起こす。発症時の死亡率は20~40%と高く、回復しても約半数は後遺症が残るという。道内では2016年度からワクチンが定期接種となった。