歯磨きの仕上げ 入学後も「お願い!」

小学校入学をきっかけに子どもに自分で歯磨きをさせる保護者が多いですが、このころは、「6歳臼歯」と呼ばれる最初の永久歯が乳歯の奥に生え、清掃が不十分となるため虫歯になりやすい時期です。専門家は、入学後も保護者が仕上げ磨きを続けることや、甘い物を控えるなど注意を呼びかけています。

6歳臼歯 虫歯から守ろう

旭川市の会社員女性(35)は昨春、長男が小学校に入学した際、「今日から歯は自分で磨く」と宣言され、1人で歯磨きをさせるようになりました。しかし今年2月、乳歯の奥に生えた6歳臼歯に虫歯が見つかりました。

歯科医からは「かみ合わせの部分に汚れが残っていたのが原因」と指摘され、今後は毎日、仕上げ磨きをするよう助言されました。女性は「息子が張り切って歯磨きしていたので安心していた」と反省しています。

6歳臼歯は、永久歯の中で最も大きく、かむ力が強い「第一大臼歯」のことで、歯並びやかみ合わせの基本となります。5歳ごろから生え始め、6歳でほぼ半数に生えるといわれています。

日本歯科医師会によると、生えたばかりの永久歯の表面には細かい穴が多いため、虫歯菌が出す酸に弱く虫歯になりやすいので注意が必要です。特に6歳臼歯は完全に生えるまで時間がかかり、隣の乳歯と段差ができて歯ブラシが届きにくいのです。日本歯科医師会は「永久歯に生え替わる小学校低学年は虫歯ができやすいが、この年の子どもの歯磨きの技術では歯に汚れが残る」とし、大人が仕上げ磨きをするよう促しています。

一方、北大大学院歯学研究院准教授の兼平孝さん(63)は「虫歯はライフスタイルの中に原因がある、生活習慣病の一種」と指摘。①よくかんで食べる ②砂糖を含む食品や飲料をとる頻度を減らす ③夕食後は間食しない ④虫歯予防に有効なフッ化物をうがいなどに活用するーなど「6歳臼歯が虫歯になるような生活をしていないかを親子で見直し、生活改善をはかることが大切」と話しています。

6歳臼歯 仕上げ見上げのコツは?
口の横から優しくかき出す
歯茎の汚れ なでるように

札幌歯科医師会監事で、小児歯科専門医の岩寺環司さん(65)に、6歳臼歯の仕上げ磨きのコツを聞きました。

札幌の専門医 岩寺環司さん

札幌の専門医 岩寺環司さん

小学生で歯を完全にきれいに磨ける人はわずかしかいません。入学すると子どもだけに歯磨きを任せる保護者が多いですが、4年生ごろまでは、できるだけ保護者が仕上げ磨きをしましょう。

仕上げ磨きは、少し固めの歯ブラシを鉛筆のように持ち、優しく使います。子どもが小さいうちは、保護者の膝の上に頭を乗せて磨き、大きくなったら、子どもを立たせて磨くのもよいでしょう。

6歳臼歯は乳歯の奥の歯茎を破って出ます。子どもの口を横に引っ張り、真横から歯ブラシを優しく入れてください。6歳臼歯は乳歯より低く、かみ合わせ部分の凸凹が深いため、歯ブラシが歯の溝に届きにくい。歯ブラシを小刻みに動かして磨き、溝の中の汚れをかき出しましょう。隣の歯との間の汚れは、デンタルフロスで取ります。

6歳臼歯の仕上げ磨きのコツ

歯茎の汚れを取るのも大切です。生え始めの6歳臼歯の周りの歯茎は柔らかく、触れると子どもが痛がったり血が出たりしますが、汚れを放置すると炎症や虫歯につながります。歯茎を歯ブラシで優しくなでるように汚れをかき出します。歯茎は歯ブラシで刺激を与えると少しずつ硬くなっていきます。奥歯の溝を埋める処置(シーラント)も、6歳臼歯の虫歯予防に有効です。

全体の仕上げ磨きは、歯ブラシを細かく動かし1本ずつ丁寧に。子どもの歯磨きは、上の歯の頰側と下の歯の内側に汚れが残ることが多いので注意してください。

取材・文/佐竹直子(北海道新聞記者)

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