小規模保育 都市部の受け皿 認可保育所に入れない0~2歳児を19人まで

子どもたちの歓声であふれる小規模保育施設「美友希保育園」

子どもたちの歓声であふれる小規模保育施設「美友希保育園」

都市部など子どもの保育を求める人が多い地域では、認可保育所に入れない子どもの受け皿として、0~2歳児を原則19人まで受け入れる「小規模保育」が大きな存在となっています。子ども一人一人に目が届きやすく、きめ細かな保育が期待される一方で、3歳時の転園を考慮する必要があります。

子に目届き 保護者にも寄り添い

「転がってみて」。保育士の声に従って、子どもたちがマットの上をゴロゴロと転がっていきました―。札幌市北区のJR新琴似駅近くのビル1階にある小規模保育施設、美友希保育園には子どもたちの歓声があふれています。

小規模保育は、2015年の子ども・子育て支援新制度で、「待機児童」の減少を目指して生まれた認可保育制度です。「保育を必要とする子ども」を受け入れる認可保育所が0~5歳児20人以上を預かるのに対して、小規模保育(0~2歳児を原則19人まで)は少人数を対象とする点が特徴です。

2月1日現在、施設数は札幌市121、旭川市19など都市部に多いのですが、特に保育士確保に苦しむ地方部でも設置を進めているケースがあります。

子どもの数に対する保育要員は認可保育所とほぼ同等ですが、資格を持つ保育士の数により三つの型があります=表参照=。厚生労働省の基準ではA型は全員保育士、B型は半数以上保育士、C型は市町村の認定を受けた「家庭的保育者」を必要とします。もっとも、札幌市や旭川市では現在、すべてがA型です。

通園には、認可保育所や認定こども園保育部門と同様に、市町村に申請して保育調整を経なければなりません。

新制度がスタートした15年に認可外保育所から小規模保育A型に転じた美友希保育園には、基準定員の19 人に弾力的な受け入れが認められている3人を加えた計22人が通っています。

運営法人の中山美友希理事(37)は「園庭はないが、毎日近くの公園に連れ出し、子どもたちも思い切り体を動かしています」。渡辺淑子理事長(76)は「少人数なので子どもたちだけでなく、保護者の悩みにも寄り添うことができます」と話しています。通園する男児の母親(40)は「家庭的な雰囲気で、相談がしやすい」と打ち明けてくれました。

一方、小規模保育を利用する保護者の多くにとって、関心事は3歳から先の受け入れ先の確保です。小規模保育施設は別の認可保育所や認定こども園などを「連携施設」とすることが定められていますが、通園の都合などで必ずしも保護者のニーズに適合するわけではありません。ただ、転園する際の市町村の保育調整では、認可保育所などへの入園が有利となる「加算」もあります。中山さんは、美友希保育園では「3歳の転園先は全員が決まっている」と説明してくれました。

特徴踏まえ選択を

保育制度に詳しい旭川大短期大学部の佐藤貴虎教授の話

小規模保育は少人数ゆえ、子どもたちの様子を丁寧に見ることができる環境にある。特に1~2歳は一人で遊びこむことが大切な時期なのでメリットは小さくない。5歳まで同じ施設に通わせたいという心情は分かるが、特徴を踏まえた小規模保育の選択も考慮に入れるべきではないか。

取材・文/弓場敬夫(北海道新聞くらし報道部 編集委員)

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