箸使い大丈夫? 家族で練習しよう

大豆を箸でつまんで運ぶ速さを競う子どもたち。箸を正しく持てる子の方がペースは速いという(NPO法人教育エトセトラ提供)

春の新入学シーズンが近づいてきました。入学を機に、子どもに教えておきたいことの一つが箸の持ち方。箸は、給食でも使いますが、近年はうまく持てない子が多いそう。子どもに教える前に、あらためて大人が正しい持ち方を確認しておきたいものです。家族でレッスンしてみてはー。

「正しく持てる」高学年の3割

「うちの子、箸の持ち方が変なんです」「実は私も」「教え方が分からない」―。釧路、根室両管内の教員らでつくるNPO法人教育エトセトラには、保護者のそんな声が届いています。

教育エトセトラは、15年ほど前から両管内の親子向けイベントで、大豆を箸でつまんで運ぶ早さを競う大会を開いています。参加者のうち、箸を正しく持てない子はほぼ半数。遊びを通してコミュニケーションを図るのが狙いですが、保護者に頼まれ、その場で子どもに箸の持ち方を教えることもあるそうです。

児童、生徒の生活習慣を調査するNPO法人子どもの生活科学研究所(東京)の全国調査(2015年)では、箸を正しく持てる児童は小学校低学年で16%、中学年23%、高学年でも33%にとどまっています。

教育エトセトラ理事で釧路市立美原小教諭の菅原泰弘さん(49)は「たった一度の指導で、はしを正しく持てるようにはなりません。学校でも教えますが給食時間は長くなく、家庭で継続的に指導してもらうのがメインにならざるを得ません」と話します。

日本箸文化協会小倉代表
「人に向けない」礼儀も助言を

はしの持ち方はどう教えればいいのでしょう。日本箸文化協会(東京)の小倉朋子代表に教えてもらいました。

箸を持つ手を横にした時に、中指が上のはしを下から支えるのがポイント。てこの原理で、2本の棒を少ない力で楽に動かすことができます。魚の骨の回りの身や、ひじきなどの細かい食材もつまむことができるため、きれいに食べることができ、手元も美しくなります。

「握り箸」や、2本まとめてペンのように持つ人も多いですが、食材が落ちやすいため手首を返して食べ物を口に運び、無駄な力がかかって見た目も悪いです。

正しい持ち方が身につく練習法があります。

箸の持ち方レッスン法

【1】箸1本を、親指と人さし指、中指の先で軽くつまむ。中指は、爪の付け根あたりで下から箸を支える。鉛筆を持つイメージ。

【2】箸を数字の1を書くように上下に度動かす。箸を下から支える中指を上げると箸も上がり、箸の上の人さし指を下げると、箸も下がる。

【3】もう1本を、親指の付け根を目指すように手に差し、薬指と小指で下から支える。2本の箸先がくっつき、三角形のようになるのがポイント。これが正しい持ち方の基本形。箸先が交差したら指先に力が入りすぎ。箸を置き、手の力を抜いて持ち直そう。

【4】上の箸を①同様に上下に動かす。正しく持っていれば、下の箸は動かない。

「食事の度に、この動作を何回か繰り返すと、徐々に癖が直ります」と小倉さん。箸使いが身につくと、指先が鍛えられ、ボタンをとめる、ひもを結ぶといった手先の作業が楽になるケースも多いそう。

ただ、幼児は最初から正しい持ち方を意識せず、箸を持つ習慣が身についてから癖を直すことを勧めます。小倉さんは「箸先を人に向けないなどの礼儀も、必ず教えて」と助言しています。

取材・文/佐竹直子(北海道新聞記者)

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