食物アレルギー 1歳で7.6% 原因、鶏卵が最多 早期介入で重症化防ぐ

(写真はイメージ=PIXTA)

国立成育医療研究センター(東京)の研究チームが、全国の子ども約10万人を生まれてから3歳まで追跡した調査を行い、乳幼児のアレルギーの実態を明らかにした。食物アレルギーは1歳で7.6%、近年増加している消化管アレルギーは1歳半までで1.4%に見られた。「今後、子どものアレルギーを減らすには、予防、早期発見、重症化する前に早期の介入や治療が必要だ」と指摘している。


子どものアレルギー調査は国内でさまざま行われているが、全国レベルでこれだけ多くの乳幼児を継続的に追跡した大規模調査は初めて。調査結果の論文を昨年11月、世界アレルギー機構の公式雑誌で発表した。

調査は、2011~14年に全国で生まれた子ども9万2945人の保護者を対象に、生後半年から3歳になるまで半年ごとに、アレルギーの症状や疾患に関するアンケートを実施した。

集計・分析によると、アレルギーの原因となる食物を摂取してすぐに、おおよそ2時間以内に、じんましん、かゆみ、せきなどの症状が表れる、即時型の食物アレルギーがあると回答した保護者は、1歳7.6%、2歳6.7%、3歳4.9%だった。年齢が上がるにつれて減少していた。アレルギーの原因となる食物で最も多かったのは鶏卵、次いで牛乳、小麦の順だった。1歳では、鶏卵5.3%、牛乳2.1%、小麦0.5%だった=表=。

一方、消化管アレルギーは、食物アレルギーの一つだが即時型とは発症メカニズムが異なり、原因食物を食べて数時間を経過してから、嘔吐(おうと)、血便、下痢などの消化管の症状が表れる。症状がなく体重が増えないだけのこともある。新生児や乳児に多いという。1歳半で尋ねたところ、このアレルギーがあるという保護者の回答は1.4%(1347人)。原因食物で最も多かったのは鶏卵、次いで牛乳、大豆の順だった。

だが、医師から消化管アレルギーと診断を受けた子は0.5%(476人)で、保護者回答の3人に1人にとどまっていた。研究チームは「アレルギー検査で陰性のことが多い」「離乳食を何回か食べてから症状が起きる場合もある」ことなどから、見過ごされている例がある、と指摘する。

食物以外のアレルギーでは、「湿疹がある」という保護者の回答は、1歳16.8%、2歳15.3%、3歳13.4%。年齢が上がるにつれて減少していた。だが、医師からアトピー性皮膚炎と診断を受けたのは1歳で4.0%にすぎなかった。また、湿疹が原因で週1回以上睡眠障害がある子が1歳で2.0%に上った。

一方、ぜんそくの症状で「ヒューヒュー」「ゼーゼー」と音がする「喘鳴(ぜんめい)がある」という保護者の回答は1歳17.4%、2歳20.6%、3歳14.3%。さらに、風邪をひいていないのに鼻炎の症状がある子は、2歳24.8%、3歳25.3%と4人に1人に上っていた。

研究チームの山本貴和子アレルギーセンター医長は「3歳までのアレルギーの実態が分かった。いくつものアレルギーを抱えている子がたくさんいます。睡眠障害など生活の質が低下している子もいます。お子さんに気になる症状があれば、速やかにかかりつけ医など医療機関に相談してほしい」と呼びかけている。

取材・文/岩本進(北海道新聞編集委員)

アレルギー

私たちの体には、自分の体の成分と違うもの、例えば、細菌、ウイルス、食物、ダニ、花粉などが体の中に入ると、異物と認識し攻撃・排除する「免疫」の仕組みがある。この免疫が過敏に働くなど異常を起こし、くしゃみ、発疹、呼吸困難などの諸症状を起こすのがアレルギー。食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、花粉症を含むアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支ぜんそく、薬物アレルギーなど、さまざまな疾患がある。

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