「食う、寝る、遊ぶ」で便すっきり

へその下を温められて、気持ちよさそうな顔をする赤ちゃん。この後、「ブリブリ…」と音を立てて便が出たという(うんこ文化センターおまかせうんチッチ提供)

へその下を温められて、気持ちよさそうな顔をする赤ちゃん。この後、「ブリブリ…」と音を立てて便が出たという(うんこ文化センターおまかせうんチッチ提供)

「うんこ」。子どもたちはこの言葉が大好きです。聞いただけで、みんな笑いだします。しかし今、便が出せず苦しむ子が、少なくありません。今年は、新型コロナウイルスの影響による運動不足で便秘の子がさらに増えた可能性も高いです。気持ち良く排せつするための「便育」に取り組む民間団体「うんこ文化センターおまかせうんチッチ」(石川県小松市)から、子どもたちの便秘解消法を学びました。

目指せバナナ形/便座での姿勢重要

「にゅる~んとしたバナナ形のうんこが理想。いいうんこが出ると気持ちいいですよ」。うんこ文化センター代表で、保健師、助産師、看護師でもある榊原千秋さん(58)は、笑顔でそう切り出しました。

でも、新型コロナの感染拡大以降、同センターには、1週間以上排便がないという小学生の相談が相次ぎ、外出や活動自粛の影響とみられるそうです。榊原さんによると、便秘は運動不足やストレスで腸の動きが鈍くなったり、直腸まで下りた便が固まって出ないことで起きます。気持ちよく排せつするにはどうしたらいいのでしょうか。榊原さんにポイントを聞きました。

うんこを、チェックしよう!

《1》赤ちゃんが便秘になったら―。

へその下から腰周辺を手でさするなどして温めて、リラックスしたら母乳やミルクを与えましょう。腸が動きだし便が出やすくなります。排便のペースはそれぞれですが、長くて4~5日間隔で排便させましょう。水っぽい便が続いたら感染症の疑いがあります。熱も続いたら病院へ。

《2》離乳食への移行期に便秘になったら―。

発酵食品や食物繊維を与え、腸内環境を整えましょう。発酵食品をとると、腸内の細菌が活発化し便通が整います。榊原さんが薦めるのは、納豆にオクラやナガイモを入れてかき混ぜる「ネバネバ大作戦」と称した料理。「2歳児でも自分で作れるし、すぐ効果が出ます」と太鼓判を押します。

生活のリズムを整えるのもポイント。睡眠をたっぷりとり、起きたら朝日を浴び、ちゃんと朝食をとると大腸の運動が誘発されます。

《3》トイレを使い始めたら―。

姿勢が大事です。フランスの彫刻家ロダンの代表作「考える人」になりきり、便座に35度の前かがみで座り、両脚を閉じてかかとを上げると便が出やすいです。立ったり寝ている時に便が出ないよう直腸と肛門の角度は鋭角になっていますが、前かがみになると直線化するためです。

※うんこ文化センターおかませうんチッチの資料を基に作成

※うんこ文化センターおかませうんチッチの資料を基に作成

ただし、座った時に足が床に届き、尻が便座の中に落ちないことが大切です。幼児はおまるを使うか、トイレに幼児用の補助便座を乗せ、足元に踏み台を置きましょう。足が着かず、両脚が広がると排便しにくいです。

うんこ文化センターは、各地で小学生対象の排便にかかわる講座を開き、子どもたちに、便の状態を記録し、問題がある時は、ストレスや運動不足の解消、食生活改善に励み、「バナナ形のうんこ」を目指すよう勧めています。下剤を服用中の子の便が下痢気味だったら、服用をやめましょう。

榊原さんは「うんこは子どもの健康のバロメーター。『食う、寝る、遊ぶ』を充実させるのが、一番の便秘解消策」と強調します。

うんこ文化センターおまかせうんチッチは、排便ケアの専門知識を習得した「POO(プー、英語でうんこの意味)マスター」を育成しています。道内でも医療や介護関係者ら32人が認定され、「便育」を進めています。センターは、POOマスターや排便にかかわる情報をセンターのホームページ(https://sorabuta.com/wp/omakaseunchi/)で公開しています。

児童の1割便秘「予備軍」も2割

小学生の3人に1人が便秘や便秘予備軍―。日本トイレ研究所(東京)の調査で、便秘に苦しむ子どもたちの実態が明らかになっています。

調査は、2019年8月に全国の小学1~6年生の児童を持つ保護者1584人に生活習慣について尋ねました。便秘状態の児童は10%、便秘予備軍は21.3%で、便秘状態の児童の保護者のうち48.4%が、子どもが便秘だと気づいていませんでした。道内は便秘状態は9.4%、便秘予備軍は19.4%。

また18年11月に1~3歳の乳幼児を持つ母親1500人に行った調査では、子どもの便秘症状が気になりだした年齢は、「0歳」が53.5%を占めました。

加藤篤代表理事は「便秘が乳幼児期から慢性化すると食欲不振や、腸内環境の悪化による免疫力の低下、精神の不安定などが起こり、心身の成長に影響する」と指摘します。研究所は今月10~19日に全国の小学生1万人を対象に便秘の実態調査を実施。12月に結果を発表し、予防策の普及につなげる考えです。

取材・文/佐竹直子(北海道新聞記者)

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