連載コラム「井澤綾華の働くママごはん」第20回

消費と生産のマッチング密に ふぞろいの野菜、安値で

今年は新型コロナウイルスのせいで、井澤農園も飲食店やホテルへの販売が思うようにいきません。農家も従来のやり方では今後が心配でもあり、新しいことにも取り組まなくてはいけません。

農家の嫁になってから、野菜の正品率の低さに驚きました。例えばサツマイモ。スーパーに並ぶ奇麗なサツマイモ1本に対し、3~4本は曲がっていたり、細かったり、巨大だったり、傷がついていたりして、市場では値段がガクッと下がります。工場ではなく畑で生産しているので、出来上がる野菜は一つ一つ違う形をしているのです。

昨年から月1回、栗山町内で始めた朝市は、今年は何とか、9、10月に開催することができました。対面販売では形が悪い野菜でも、お客さんに説明することによって理解いただければ、買ってもらえます。農家によっては、廃棄していたり、箱代になるかならないかの値段で市場に出している方もいます。

このふぞろいの野菜たちを求めて食べてくれる人がいるんじゃないかなと思い、うちの農園は「ポケットマルシェ」という直売アプリで、規格外野菜や無選別の野菜の出品も行っています。値段はその分安くて、売れ行きは好調です。例えば、玉ネギの無選別品は、小さいものは丸ごとスープに入れることができ、たくさん使う料理には大きなものが歩留まりが良く、使い分けができます。

SNSや新しい流通の形ができ始めているからこそ、今までよりも消費と生産のマッチングが密に細かくできるのではないでしょうか。最近は畑仕事が落ち着いて時間ができてきたので、楽しみながら試行錯誤をしています。

写真提供/井澤綾華さん

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