• 授乳卒業 焦らないで 母子の状況に合った方法を

    離乳食をもりもり食べる美月ちゃん。夜には、今も母乳を飲みたがる
    母乳やミルクの「卒業」時期は子育て世代の悩みの一つ。新型コロナウイルスの影響で自治体や民間団体などが開く子育て教室が限定される中、1人で悩んでいるお母さんも多いのでは。専門家は「授乳に期限はない」とし、赤ちゃんと母親の状況に合わせるよう勧めています。

    離乳食は栄養を補うもの

    「たくさん食べるのに、まだ、おっぱいもほしいの?」。札幌市の会社員平沢ちなみさん(29)が離乳食をほおばる1歳3カ月の長女、美月ちゃんにそう問いかけると、美月ちゃんは笑顔でうなずきました。

    平沢さんは、美月ちゃんに6カ月から離乳食を与えています。4月に職場復帰し1歳になったのを機に、授乳からの卒業を試みていますが、夜中に母乳をねだられます。「1歳過ぎたら母乳は卒業」「夜は授乳しないで寝かしつけた方がいい」。周囲にそう助言されることもありますが、胸に顔を寄せる美月ちゃんを退けられません。「あげない方がいいのかな」と悩みながら授乳しています。

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    母乳やミルクは、いつまでに卒業すればいいのでしょうか。

    「人それぞれで、ルールはない。焦らないで」。母乳育児支援の国際資格「国際認定ラクテーション・コンサルタント」を持つ栄養士の引地千里さん(63)=札幌市=はそう強調します。

    引地さんによると、生後6カ月以降の赤ちゃんは、体が求めるエネルギーを母乳やミルクでは摂取しきれず、食事で補う必要があります。その時期に始めるのが離乳食で、世界保健機関(WHO)は栄養を補う意味で「補完食」と呼びます。離乳食は、授乳をやめるために始める食事ではないのです。「赤ちゃんが求めた時に授乳するのは、悪いことではありません」と引地さん。

    厚生労働省は、離乳食を始める時期について、赤ちゃんが《1》首がしっかりし寝返りができる《2》5秒以上座れる《3》スプーンを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる生後5~6カ月ごろが適当としています。

    乳幼児のエネルギー必要量と母乳から得られる量

    一方、WHOの試算では、乳児が1日に必要とするエネルギーのうち母乳から得られるエネルギーは、生後6~8カ月で約70%、9~11カ月で約50%、12~23カ月でも約35%を占めており、離乳食開始後も、母乳やミルクは重要な栄養源といえます。

    引地さんによると、赤ちゃんは栄養の大部分を食事でとれるようになると、自然と授乳を求めなくなりますが「授乳も求めた時に、赤ちゃんの気持ちを尊重し飲ませるかどうかは、お母さんの意向が一番、大切」と言う。授乳をやめたい場合は徐々に授乳回数を減らしたり、まず日中だけやめたりなど、母子の状況に合った方法を選ぶよう勧めます。

    嫌がるときは無理せず

    札幌市保健所は、離乳食と母乳やミルクのバランスの目安を示したガイド「離乳のすすめ方」をホームページ(http://www.city.sapporo.jp/HOKENJO/syokuiku/)で公開しています。

    離乳のすすめ方の目安

    保健所の管理栄養士、松本文恵さん(42)によると、離乳食を始めてもなかなか食べない時は、初期(5~6カ月)なら《1》料理の固さやつぶし方、温度が適切か《2》食べやすい姿勢か《3》空腹か―を確認すること。嫌がったら無理に食べさせず、授乳に切り替え、様子を見て再開しましょう。開始から数カ月後でも体調などで食べたがらない日もあります。嫌がる時は無理に食べさせず授乳を。食べない状況が続く時は、最寄りの保健所などに相談しましょう。

    取材・文/佐竹直子(北海道新聞記者)

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