前歯が上下4本生えたら始めどき 歯磨き、慣れさせるこつは? 力入れず「シャカシャカ」 回数、時間を工夫

子どもに乳歯が生えてきたら、早めに歯磨きを習慣づけたいと思うのが親心ですが、歯ブラシが口に入るのを嫌がる子どもは少なくありません。虫歯の予防などに欠かせない歯磨きに慣れさせるこつや、幼い頃から歯を健康に保つ大切さを専門家に聞きました。

安定した姿勢で

松岡円さん

松岡円さん

一般社団法人北海道歯科衛生士会札幌支部の松岡円支部長は「前歯の上下4本が生えたら、歯磨きを始めましょう」と勧めます。子どもが成長するにつれて歯磨きを嫌がるのは、①歯ブラシを怖いと感じる ②反射的に歯ブラシを力を入れて強くかんでしまう ③口の中の粘膜の傷や虫歯による痛み-などの要因が考えられるといいます。

①の場合は「保護者が仕上げ磨きを頑張りすぎて、痛みを感じているケースが多い。力を入れずに音のイメージは『ゴシゴシ』ではなく『シャカシャカ』で十分。子どものお気に入りの色や好きなキャラクター付きの歯ブラシを選ぶのもいい」とアドバイスします。

②は生後6カ月ほどでなくなる「咬(こう)反射」という反応が残っている場合で「無理をせず、短時間でできる範囲だけを磨くようにする。朝は短くても昼は少し長めに磨くなど、1日の回数や時間を工夫して子どもの調子に合わせて少しずつ慣れさせましょう」。③の疑いがあるときは、歯科医に診てもらいましょう。

歯磨きを嫌がる子どもへの対応

仕上げ磨きのポイントは座った保護者の膝の上に子どもの頭を乗せて寝かせ、安定した姿勢で。毛の部分が子どもの歯2本分の歯ブラシを使って、虫歯になりやすい奥歯のみぞや歯と歯の間を特に意識して磨きます。歯と歯の間が詰まっている場合は、デンタルフロス(糸式ようじ)も利用します。

松岡さんは「寝る前の歯磨きは、子どもが眠たくて嫌がることも多い。できれば夕食後に磨き、寝るまで飲食は避けて。歯磨きの最中や終わった後は『よくできたね』などとほめてあげてください」と呼びかけます。

砂糖は控えめに

岩寺環司さん

岩寺環司さん

「3歳までは虫歯菌を増やす砂糖をできるだけ摂取しない予防法を推奨するが、糖分を取るなら歯磨きをするしかない」と話すのは、札幌市北区の小児歯科専門医の岩寺環司さん(64)。「歯が生える前に、きれいな指で歯茎をマッサージしてあげると、口の中に歯ブラシなどが入っても嫌がらなくなる」といいます。

「3歳を過ぎても、あめやキャラメル、ジュースなどを飲食する回数や個数を決めて、だらだら食べないようにして」と促した上で、「よくかまないために上あごが発達しなかったり、乳歯が虫歯になったりしたため、永久歯の歯並びが悪くなる子どもが増えてきている」と強調します。

乳歯の虫歯の進行は永久歯よりも早いことから、岩寺さんは「3歳くらいまでは、1~3カ月おきにかかりつけ医で定期健診を受けて、フッ素を塗るなど虫歯になりにくい歯の質にすることも大切」としています。

取材・文/安宅秀之(北海道新聞編集委員)

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