コロナの夏、水遊びにも影 遊水路やプール休止相次ぐ 遊泳禁止区域での事故注意

休止中で人けのない豊平川緑地ウオーターガーデン=札幌市南区

まもなく夏本番。海や川、プールで水に親しむ機会が増えます。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大で、「3密」を避けるためなどとして、公園にある遊水路や小中学校のプール開放は休止が相次ぎます。道内の海水浴場も、オープンは全体の半分ほど。今夏は、子どもたちが楽しみにしている水遊びにもコロナの影響が及んでいます。


6月下旬の土曜日。例年、親子連れでにぎわう札幌市南区の豊平川緑地ウオーターガーデンは訪れる人もまばら。子どもたちが遊べる遊水路には水がありません。近くに引っ越して来た近所の男性会社員(37)は「水遊びができる公園と聞いていたのに…。コロナが落ち着いたら子どもたちを遊ばせたい」と残念そうに話します。

札幌市によると、大通公園や豊平川緑地、モエレ沼公園など74カ所の水遊び場が休止。例年、7~8月ごろに通水しますが「暑い日は親子連れで大混雑し『密』を避けるのが難しい。今期はオープンの見通しが立たない状況」(みどりの管理課)といいます。

函館市も市が管理する公園の遊水路を休止。市内と近郊の海水浴場の多くがオープンしていないため「海に行けない人が訪れて密集しかねない」(花と緑の課)と休止理由を説明します。

道内の海水浴場は、石狩浜海水浴場(あそびーち石狩)など16カ所が今季のオープンを見送りました。レジャープールや学校のプール開放も、更衣室の「3密」を避けるなどの理由で休止する所が多いです。

一方、旭川市や帯広市は水遊び場を開放しています。「屋外施設で、水は消毒している。緊急事態宣言が解除されたので、公園の遊具と同様に開放した」(帯広市みどりの課)とします。

水遊び場が限られる中、道外では5~6月、川遊びで子どもが亡くなる事故が6件相次ぎました。一般社団法人水難学会の会長で、水難事故に詳しい長岡技術科学大の斎藤秀俊教授は「子どもは『水深が浅いだろう』と思って川に入り、深みにはまってしまう場合が多い」と指摘します。道内でも今年、石狩浜と小樽市銭函で子どもが溺れる事故が起きました。

斎藤教授は、3密を避けようと、遊泳禁止の海や川に出かける子どもが増えるのではないかと懸念。水遊び場が休止されている現状について「感染状況をみながら、暑さが本格化する今月中旬~下旬に水遊び場の開放を検討してもいいのではないか。プールではクラスター(感染者集団)が発生しておらず、最寄りの公共プールも利用してほしい」と話しています。

取材・文/酒谷信子(北海道新聞記者)

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