<学校再開への心構え>下 朝の勉強で生活リズム改善

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今月からの学校再開への心構えをテーマにした2回目は「学習の準備」について。新型コロナウイルスの感染拡大による休校が3カ月間に及んだことで、学校では遅れを取り戻すため授業が通常よりペースアップされることが予想される。乱れた生活リズムを正し、学習に打ち込むためのポイントを、あらためて紹介する。

誘惑少ない食事前に/簡単なドリルで復習

話を聞いたのは秀英予備校北海道本部長の鈴木高宏さん(49)。鈴木さんは「まず生活リズムを整えること。だらだら過ごすと集中力が落ちます。基本的なことですが、いま一度、見直してみましょう」と話す。

休校中は夜中までゲームをしていた人、昼まで寝ていた人もいるだろう。学校が始まれば嫌でも朝起きなくてはならないが、一歩踏み込んで、早く起きて朝食前に勉強する「朝勉」にトライすることが、鈴木さんのお勧め。生活が整うのはもちろん、早朝はテレビのバラエティー番組、友人とのラインのやりとりといった誘惑が少なく、集中しやすい時間帯でもある。

「長く座っていられなくなった、なんて話も聞きます」と鈴木さん。何となくやる気が出ない、集中できない―そんな人にお勧めなのは、簡単な計算や漢字のドリルだ。どんどん解けるレベルの問題で、頭を使う感覚を思い出そう。前の学年のワークや問題集に取り組めば、復習にもなる。

道内の学校は2月末から休校が続き、前の学年の学習すら終わっていない。特に中3、小6は受験や卒業前に学習範囲を終わらせるため、授業の密度が高まることが確実。各学校は授業数を増やしたり、長期休みに登校日を設けたりと対策を取っているが、新型コロナがまた広がり、今後も休校になる恐れもある。

鈴木さんは「復習の時間をいつもの1~2割、増やして」と強調する。授業で得た情報を脳に記憶させるには、反復練習が有効だ。早く進む授業で一度つまずくと、どんどん理解できなくなる。「授業にしっかりついて行く必要がある」と意識しよう。学校が再開されても部活動の時間は短縮される可能性があり「その時間は復習に当てられる。時間の使い方が、より大切になるでしょう」(鈴木さん)。

長い休校中、学校の課題に熱心に取り組んだ生徒や教科書を読み込んだ生徒もいるだろう。「家で身についたことを、授業でまた聞くのはつまらない」と感じる人もいるかもしれない。

鈴木さんは「『学校の授業で完璧にする』という気持ちで臨もう」と話す。授業は「復習」と発想を転換するのも一手だ。また、教科書を隅々まで読むと、ちょっとした「豆知識」や難問も載っている。難しそうな問題にもチャレンジして教科書を使い尽くそう。

札幌市内の中学では、例年6月に行う1学期の定期テストを夏休み後の8月に変更し、本年度は前期・後期の2期で成績を付ける学校もある。自分の学校の定期テストの日程を確認し、そこに目標を定めよう。

保護者の皆さんへ「勉強する意味」一緒に探して

新型コロナへの感染リスクを減らすため、学校生活は従来と全く同じスタイルには戻らないのが確実だ。分散登校や授業の一部制限が続き、子どもが「学校で授業を受けていればいい」と考えていると、受験勉強などでつまずきかねない。家庭学習は、従来にもまして大切になる。

保護者が、勉強に打ち込めるよう子どもの背中を押してあげる機会が増えそうだ。ただ、鈴木さんは「保護者がやみくもに『勉強しなさい』と言ってもやりませんよね」と指摘する。

「この高校に行きたい」など、自ら学習への分かりやすい動機を持つ子どもは、バックアップの効き目もすぐに出そう。これに対し、目的意識が明確でない場合には、子どもの心に響く「勉強する意味」を保護者が一緒に探すことが大切になる。鈴木さんは「学校の先生や塾など周囲の大人に相談したり、子どもと話したりと、協力してあげて」と話している。(鹿内朗代)

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