緊張する新学期、再休校 どう対応 親、先生は安心感与えて

新型コロナウイルスの感染拡大により札幌と近郊の小中高校が再休校となる一方で、道内の他の地域では学校が継続されています。クラス替えなどで環境が変わる新学期特有の緊張感に加え、今はマスク着用や給食時の会話制限など「コロナ対策」によるストレスもあります。子どもの緊張を和らげるために、専門家は「親や先生は、子どもに安心感を与えてほしい」と話します。

大人「無理せずに」と伝える
学校 楽しい雰囲気づくりを

「休校中は仕事の間の預け先確保に苦労し、子どもの生活リズムも乱れがちだった。学校では感染対策を徹底して行っているし、再開してくれてほっとしている」。小学3年の長男がいる釧路市の40代女性は笑顔を見せます。

札幌市教委のスクールカウンセラー・スーパーバイザーを務める札幌学院大の手代木理子特任教授は、学校は多くの子どもにとって「うれしいことが多い場所」と指摘します。「休校中は多くの親子が家でストレスを抱えていた。感染対策の制約はあるものの、学校では友だちや先生に会えるし、家ではできなかった活動に取り組める」

手代木理子さん

手代木理子さん


子どもは環境の変化に弱く、ストレスを受けやすい存在です。新学期やコロナ対策の緊張感を本来は親が和らげられるとよいですが、現在は親にもさまざまな不安があります。手代木特任教授は「子どもは学校でほっと一息つくと、また家で頑張れる。先生たちは穏やかに、なるべく叱らず『楽しいことを、みんなで考えていこう』という雰囲気づくりをしてほしい」と期待します。

もともと登校に不安を感じる子にとっては、休校明けの新学期は、登校のハードルがより高くなります。札幌と帯広で心理臨床オフィスを開く星槎道都大の佐々木智城准教授は「休校中に長く自宅で過ごして緊張が緩むと、新学期の緊張感に自分を合わせづらくなる」と指摘します。

周囲の大人に求められるのは、子どもに安心感を与えることと言います。まず親が落ち着いてゆったりと構え、子どもが学校に行く前に動作が遅くなったり、呼吸が浅くなるなど不安が強い様子なら「無理して行かなくてもいいんだよ」というメッセージを伝えます。「学校側は『心の教室』や保健室への登校を認め、先生は笑顔と優しい声かけを心がけてください」と佐々木准教授。

佐々木智城さん

佐々木智城さん


一方、札幌市内の学校は5月6日まで再休校となりました。手代木特任教授は子どもたちに「悔しい」「退屈」「友だちに会いたい」などの気持ちを心の中にためず、言葉にするよう勧めます。そして「コロナにかからず、人にうつさないため、人との関わりを避ける」という休校の目的を再認識し、会えない人とは電話やSNSでつながりを確認するよう促します。「たまには手紙を書くのも新鮮ですよ」

中学生になると、勉強への焦りを感じる子も多くなります。1週間の勉強スケジュールを立てる際にお勧めなのは、最初の2~3日を「ラクラクできる量」にすることと言います。「高い目標を立てたくなりますが、絶対に可能な量に抑えると、『できた』という達成感が心の栄養になり、次へのモチベーションにつながります」。規則正しい生活と運動、気分転換に1日1回は外に出て深呼吸をすることも必要といいます。

取材・文/酒谷信子(北海道新聞記者)

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