親子で解消! 冬の運動不足 家の中、遊び感覚で

雪国の道内の子どもにとって、冬場は運動不足になりがち。文部科学省の幼児期運動指針が掲げる「毎日合計1時間以上、体を動かす」という目標の達成はなかなか難しいのが現状です。恵庭市を中心に活動する一般社団法人子ども体づくり協会の作田文子代表理事に、家の中でも親子で気軽に楽しめる運動不足解消法などを聞きました。


文科省の2019年度の学校保健統計調査(速報値)によると、道内の5歳児は、標準体重から算出した「肥満傾向児」の比率が3.7%と全国平均より0.9ポイント高いです。札幌市幼児教育センターは「冬場など運動時間が短いのが要因の一つ。(市内の)各幼稚園には楽しく遊びを取り入れて体を動かすよう働きかけている」と言います。

作田さんは、スポーツインストラクター歴30年以上のベテラン。現在、恵庭市や千歳市の計六つの幼稚園で毎週約400人の園児に体育を教えているほか、幼児対象の運動サークルや親子体操教室などでも指導しています。

作田文子さん

作田文子さん

肥満傾向だけでなく「きちんとした姿勢で立ったり、座ったりできない子どもが年々増えているのが気になる」と言います。「自分の体を支える筋力が十分についていないからでは」とみており、「走る、跳ぶ、昇る、降りる、はう、くぐるなどの基本動作を身に付けるのが大切」と呼びかけます。

幼児期運動指針も「運動機能が急速に発達するのが幼児期」と位置づけて、遊びを通じて多様な動きを経験させることで「普段の生活で必要な動きをはじめ、とっさの時に身を守る動きや将来的にスポーツに結びつきやすくなる」などとしています。

「新聞遊びやバランスごっこ…」
〜子ども体づくり協会・作田代表理事に聞く〜

作田さんに、家の中で安全に親子でできる運動を紹介してもらいました。

家の中で安全に親子でできる運動

※作田さんへの取材を基に作成

【1】新聞紙で遊ぼう
新聞紙1枚をくしゃくしゃに直径15センチほどに丸めて、キャッチボール。ゴムボールに比べて空気抵抗が大きく滞空時間が長いので、子どもが受け取りやすいです。空間認知力も養えます。

棒状にして、子どもの足を払うように左右に振ってジャンプさせたり、頭より低いところで水平に振って、しゃがませたり。床に一定の間隔で数本並べて、連続ジャンプや片足でけんけんも。棒をつなげて両端を父母が持って、縄跳びのようにも遊べます。

【2】バランスごっこ
親がうつぶせになって、お尻の上に立たせます。両足で立てたら片足で。今度は親が四つんばいでカメのようになり、丸めた背中の上に立たせてみます。次は子どもと向き合って手をつなぎ、体育座りした親の膝小僧に=写真左=、立った親の膝へ=同右=と難易度を上げていきます。手をつなぐ時は、親の親指を子どもに握らせ、親は残る4本の指で子どもの手を包み込むようにします。

運動イメージ

【3】V字バランス
親子で向き合って座って手をつなぎ、お互いの両足の裏を合わせて「○秒止まってみよう!」。次は足の裏を合わせたまま押したり、引いたり、自転車をこぐような動きをしたり。バランスだけでなく、相手に合わせた動きが身に付きます。

【4】エレベーター
親子で向き合って手をつなぎ、親がゆっくり引き上げます。床に下ろした後に、「せーの」と声をかけて一緒にジャンプします。跳ぶ時にひざをよく曲げることや、ぶら下がる力、握力を付ける練習になります。

作田さんは「いずれも、周りに危険な物を置かないように。子どもの発達に合わせて無理をせず、子どもが飽きない程度の短時間で十分」とアドバイスしています。

取材・文/安宅秀之(北海道新聞編集委員)

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