夏休みは食育にチャレンジ!親子で楽しみながら「食」に興味を持つ時間を

写真はイメージ(pearlinheart / PIXTA)

健康な身体と心のもとになる食。子どもが食に関する知識を育み、食への興味や好奇心を育てる食育の大切さが強調されるようになりました。特に幼児期は、今後の食習慣の基礎を決定づける大切な時期です。比較的時間にゆとりのある夏休みに子どもの食育に取り組んでみてはいかがでしょう。

料理に挑戦、達成感得られる

「このスープ、何が入ってる?」。「シイタケ」「ネギ!」。札幌市清田区平岡1の2の食育教室「大きなかぶ」(電話090-8279-3363)。主宰者で食育インストラクターの阿部由利恵さん(35)が問いかけると、子どもたちの元気な声が返ってきました。

阿部さんの食育教室で料理に挑戦する子どもたち

阿部さんの食育教室で料理に挑戦する子どもたち

7月下旬のこの日は幼児以上が対象の教室に3~8歳の5人が三角巾とエプロンを着けて参加。鶏がらスープと中華ちまきを自分たちで作りました。阿部さんは一つひとつの具材を見せながら説明します。卵を割る時、黄身がつぶれてしまった子には「失敗は成功のもと」とすかさずフォロー。子どもたちは、包丁を器用に使って食材を切ったり、溶いた卵を鍋に入れたりと楽しそうに動いていました。

鶏がらなどを6時間煮込んだスープは、ニンジンや卵が彩りを添えています。「仕上げに、オリーブオイルを入れると、(ふたになって)味が逃げないよ」と阿部さん。ちまきは道産のもち米に栗やウズラの卵などの具を入れ、竹皮に包んで蒸しました。札幌市立しらかば台小2年の石田凛桜(りお)さん(8)はできたてのちまきをほおばり、「上手に包めた。おいしい」と笑顔を見せます。これまで食育教室に3回参加。自宅でも卵焼きやチャーハンなどを家族に振る舞ったといいます。

阿部さんは「自分で作った料理を味わうことは、子どもの自信になる」と指摘します。達成感と自己肯定感が高まるほか、「料理で誰かを喜ばせられる体験をできるのが大きい」。さらに料理体験と学びとの組み合わせで「子どもたちの理解が深まる」といいます。

夏に作ってみよう 阿部由利恵さんおすすめ

遊びながら食材の知識も習得

料理を味わった後は、遊びで学びを深めます。この日は「夏祭り」をテーマに、阿部さんが手作りした射的と魚釣りのゲームに挑戦しました。射的はキウイやスイカなどの的を倒し、それぞれが採れる季節を当てました。魚釣りはアユやウナギなどの写真を釣り、川か海、両方で生活する魚か―を考えました。

魚釣りゲームを通じて、食に関する知識を学ぶ子どもたち

魚釣りゲームを通じて、食に関する知識を学ぶ子どもたち

幼児向けの食育教室は昨年7月に開講。月1~3回実施し、延べ約80人が参加しました。中でも「体に良いものを選ぶ力を身につけてほしい」と、だしにこだわります。だしに使うコンブはミネラルが豊富で味覚や嗅覚を正常に保つ亜鉛も含まれており、「素材本来の味がわかるようになる」。さらにコンブに含まれるグルタミン酸は、母乳や羊水に含まれており「慣れ親しんだ味で乳児も喜ぶ」といいます。

乳幼児からの食育の大切さについて、阿部さんは「1歳半までは好奇心旺盛で何でも食べてくれるが、2歳以降の『イヤイヤ期』は自己主張が強くなり、好き嫌いも出やすい」といいます。ただ、この時期から体にいいものを繰り返し食べることで、成長しても健康的な食べ物を選べるそうです。

家庭でどんな食育ができるでしょうか。阿部さんは ①食に関する絵本を読んだ後、一緒に買い物して食材を選ぶ ②家庭菜園を楽しむ ③みそ汁のだしをとる―を挙げます。「それぞれの家庭の事情に合わせて楽しみながら食に興味を持つ時間を作ってほしい」と呼びかけています。

収穫体験 野菜嫌いに効果

野菜が嫌い、食べられない―という子どもに有効なのが収穫体験でしょう。

ホクレンが運営する「くるるの杜」(北広島市大曲377、電話011・377・8700)では、予約制の農作業・調理体験のほか、場内で栽培する野菜などを生育状況に合わせて土曜と日曜日に収穫できる「かんたん収穫体験」を行っており、好評です。

当日先着順で受け付けており、7月30日と31日はブルーベリー(1パック160グラムで650円)と大根(1本200円)の2種類。

「くるるの杜」の体験農場で、大根を笑顔で引き抜く石原さん(左)と遥馬くん親子

「くるるの杜」の体験農場で、大根を笑顔で引き抜く石原さん(左)と遥馬くん親子

札幌市西区の会社員石原京悟さん(33)は野菜嫌いの長男遥馬(はるま)くん(4)を連れて夫婦で来場。「自分で取った野菜なら食べてくれるのでは」と話し、大きく育った夏大根を2人で元気よく引き抜いていました。

札幌市の農業体験交流施設「サッポロさとらんど」(東区丘珠町584、電話011・787・0223)も同様に場内の体験農場で収穫体験を行っていますが、「新型コロナ感染拡大以降の2年間、収穫体験だけ参加者が激増しており、今年も週末は約500組、千人以上が訪れる日もあり、対応が難しいほど」といいます。

取材・⽂/田口谷優子(北海道新聞記者)、和田年正(北海道新聞編集委員)

この記事に関連するタグ

Ranking

  • すべて
  • 子育て・教育
2024
4/24
WED

Area

北海道外

その他