おもちゃ花火、楽しさいろいろ 途中で火花の散り方変化 イチゴやカレーの香りも

おもちゃ花火がずらりと並ぶ「人形のヨシダ」札幌店(中村祐子撮影)

子どもたちにとって「おもちゃ花火」は、夏の夜の大きな楽しみの一つです。最近は火花が途中で変化したり、果物の香りがしたりなど多彩な商品がそろっています。ただ、火事や、やけどの危険もあるため、楽しく遊ぶには準備や注意が欠かせません。

単品で人気は伝統の線香花火

札幌市中央区のサッポロファクトリー内にある「人形のヨシダ」札幌店には、赤、青、黄など派手な色をしたおもちゃ花火がずらりと並んでいます。オーナーの北畠孝二さん(49)は「単品からセット品まで約300種類を扱っています」と説明してくれました。

単品は火薬が0.5グラム以下の線香花火、10グラム以下の手持ち花火、火薬量が多い打ち上げ花火などがあります。同店で最も売れているのは線香花火で、中国産(16本入り98円など)に加え、筒井時正玩具花火製造所(福岡県みやま市)製など国産品も取りそろえています。同製造所の線香花火は火薬を紙で包んだ一般的な「長手」、わらの柄(ワラスボ)に火薬を付けた「スボ手」があり、どちらも15本入りで628円です。

写真左/単品で人気が高い線香花火。左から二つ目がわらを使った「スボ手」、他は紙を使った「長手」
写真右/線香花火(長手)の火球と火花

写真左/単品で人気が高い線香花火。左から二つ目がわらを使った「スボ手」、他は紙を使った「長手」 写真右/線香花火(長手)の火球と火花

火花の方向変化や香り付きも

手持ち花火では、火花の散り方や方向が変化するものが登場しています。「ハナビスピナー」(1本198円)は、初めは火花が正面に向かって噴き出し、途中から回転花火に変わります。「たこおどり」(同188円)は、途中で火花が出る場所が1カ所から5カ所ほどに分かれる仕組みになっています。

ハナビスピナーは途中で回転花火へと変わります

メロンソーダやイチゴ、チョコ、カレーなどの香りがするものや、スマートフォンで撮影した際にきれいに写るように煙が少ないものもあります。

もちろん、さまざまな花火が入ったセット品も好評です。花火の本数で値段が大きく変わり、同店では千円台を中心に扱っています。煙が少ない花火のセットもあります。

北畠さんは「最近は花火を楽しめる場所が限られているためか、昔ながらの手持ち花火や、地面に置いてその場で噴き出す花火が好まれる。大きな音がする打ち上げ花火は敬遠されがちです」と話しています。

説明書よく読んで SFマーク確認を

消防庁は1日に発行した広報誌で、花火を安全に遊ぶポイントを解説しています。「風が強い時はしない」「説明書をよく読む」などの注意を促しています=表=。花火の購入については、日本煙火協会が実施する安全検査に合格した「SFマーク」を確認することを勧めています。

遊び終わった花火は、水が入ったバケツに入れて完全に消火してから捨てます。最近は水をはじく紙製のバケツに水を入れると、紙に塗られた成分が溶け出してゲル化し、花火を消火した後、バケツごとごみとして処分できる商品もあります。

消防庁によると、花火が原因となった火災は全国で2017年に15件起きています。その後は18年6件、19年9件、20年6件、21年2件と減少傾向にあります。

火災に至ったケースは、打ち上げた火花が乾燥した草木に燃え移るなど、燃えやすいものが近くにあることが多いことが分かっています。札幌ではかつて、浴衣に火が移り、負傷した事例があるそうです。

おもちゃ花火

花火大会で使用される「打ち上げ」「仕掛け」とは異なり、一般家庭で使用します。火薬を薄い紙で包み、先端の紙製部分に点火して楽しむ「すすき」や竹ひごや針金などに火薬を塗った「スパークラー」といった「手持ち」、筒先に火をつけると勢いよく火花が噴き上がる「噴き出し」、約20~30メートル上空まで上がる「打ち上げ」などがあります。

取材・文/弓場敬夫(北海道新聞くらし報道部編集委員)

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