夏祭りや花火大会、再開の動き 子ども用浴衣や甚平、人気復活

写真はイメージ(よっし / PIXTA)

コロナ禍で中止されてきた夏祭りや花火大会などが徐々に再開されることに伴い、子ども用の浴衣や甚平の人気が復調しています。衣料品店や手芸店などで、既製品の価格帯や手作りするための生地選びのコツなどを聞きました。

購入 決め手は価格

「今年の夏は着る機会が増えそう」。札幌市の女性(40)は、6歳の娘の浴衣姿を楽しみにしています。既製品を選ぶ際の観点は「子どもは成長が早いので、すぐに小さくなって着られなくなる。購入の決め手は、やっぱり価格になると思う」と話します。

基本的に薄手の木綿生地を使う浴衣は、軽やかで風通しが良いです。袖に「たもと」があり、帯を使います。最近は上下が分かれたセパレートタイプも登場しています。一方で、甚平はそもそも上下セパレートで上着にたもとはなく、下はズボンスタイルで帯は必要ありません。

衣料品や手芸品を扱う各店舗は今夏、コロナ禍の2年間で落ち込んだ浴衣や甚平の売り上げ増に力を入れています。

身長80~130センチまでの子ども向け浴衣と甚平が並ぶ西松屋札幌中央店

身長80~130センチまでの子ども向け浴衣と甚平が並ぶ西松屋札幌中央店

西松屋札幌中央店(札幌市中央区)の浴衣・甚平コーナーは、身長80~130センチの子ども向け浴衣約25種と甚平約90種を置いています。鮮やかな花柄のほか、シンプルなドットやストライプ柄も取りそろえています。販売価格は浴衣が帯付きで2198~2528円、甚平は966~1736円です。

同店を含むエリアを担当する西松屋チェーン地区長の佐々木純さん(47)は「2年前や昨年に比べ、販売はかなり回復してきている。屋外のイベントがある時期に購入される方が多く、ピークは浴衣が7月上旬、甚平は7月上、中旬とみている。価格は大きな判断基準になるでしょう」と話しています。

手作り志向も回復

カナリヤ本店の子ども向け浴衣と甚平コーナー。生地と型紙が展示されています

カナリヤ本店の子ども向け浴衣と甚平コーナー。生地と型紙が展示されています

手作り志向も復活しています。

手芸店カナリヤ本店(札幌市中央区)第1フロアマネジャーの丸山志織さん(39)は「2年前は、手作りマスクをつくるために浴衣生地が買われることが多かった。昨年は、室内着として甚平を作るというケース以外は、あまり動きがなかった」と振り返りました。

今夏は「生地と型紙を一緒に購入し、手作りされる方が多い」と丸山さん。1階のコーナーには、花や文字、トンボ柄などの綿生地が80種ほど置かれています。特に、勧めているのは、表面に小さな凹凸があるリップル加工された生地です。「肌に密着しにくいので、汗をかいても着心地が良く、子どもに向いている」といいます。

表面に凹凸があるリップル加工された生地

表面に凹凸があるリップル加工された生地

身長130センチ程度の子ども向けに生地と型紙を合わせた購入費用は、浴衣が4500円、甚平が3300円ほどだそうです。生地を購入して製作もオーダーすると、浴衣は9500円、甚平は7700円。帯は別途、へこ帯を用意する人が多いのですが、ふわふわした薄手の生地のオーガンディなどを購入し、アレンジする人もいるそうです。

カナリヤにも納入している型紙大手「ジャノメサービス」(東京都八王子市)のサン・プランニング事業部は、浴衣や甚平の自作について「縫う部分は直線が多く、ミシンがあればさほど難しくはない。ただ、布地の裁断や印付けなどの作業も含めると、慣れている人でも1日、初心者だと数日かかることもある」と説明しています。

自作する上で分からない点については、カナリヤをはじめとする手芸店で問い合わせを受けています。また、ジャノメサービスでは、型紙の使い方と、子ども用甚平の作り方についてYouTubeの同社チャンネルに解説動画を投稿しています。

取材・文/弓場敬夫(北海道新聞くらし報道部編集委員)

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