ピカピカの1年生もストレスで体調不良 頭痛や腹痛、下痢や嘔吐も

写真はイメージ(tabiphoto / PIXTA)

真新しいランドセルを背負って、期待を胸に小学校に通い始めた新1年生たち。学校生活はもうすぐ1カ月たちますが、この時期、体に異常はないのに腹痛などの不調を訴える子どもは少なくありません。専門家は「生活環境の変化によるストレスが、体調不良の要因です。学校生活に慣れれば心配ありませんが、日頃から子どもの様子に気を配ってくださいね」と呼びかけています。

登校前に声かけ、十分な睡眠を

札幌市内の小中学校に30年以上勤務する女性養護教諭によると、入学式の数週間後から、腹痛などを訴えて保健室を訪れる新1年生が出始めるといいます。クラスに1人程度ですが、症状があっても我慢して保健室に行くのをためらう児童も相当数いるのではないかとみています。

ただ、体調不良は必ずしも長続きするわけではありません。以前勤務していた学校の1年生の女子児童は、昼前の4時間目の授業の始まりにやってきて、ベッドで休むと給食の時間には教室に戻ったといいます。

教諭は「授業に集中して一時的に疲れたようでした。真面目な子ほど、壁にぶつかって不調を訴えることが少なくありません」と振り返ります。

防ぐためのポイント

北大大学院教育学研究院准教授の川田学さん(49)は「新1年生はまだ心や体は幼児のままです。トイレの場所を覚えるのも負担に感じるときなのに、授業など規律正しい生活を求められ、つい無理をしてしまいます」と不調の原因を分析します。

学校側も新1年生がスムーズに学校生活に慣れるよう対策は講じています。札幌市教委児童生徒担当課長の大井一雄さん(51)は「入学前に幼稚園と小学校の教諭が情報交換するほか、入学後も授業にゲーム要素を取り入れたり、コロナ下以前は6年生が掃除や給食時にサポート役を担ったりして仲間の温かさを感じてもらっています」と強調しています。

前出の養護教諭は新1年生の家族に、毎朝登校前に子どもの顔をよく見て、声かけすることを勧めています。「体調不良の兆候は、顔色の変化や簡単な会話から感じ取れる」とした上で「普段から規則正しい生活を送ることが大切です。特に十分な睡眠を習慣づけてほしい」としています。

親子で運動、ストレス発散

氏家記念こどもクリニック(札幌市中央区)院長の氏家武さん(68)=児童精神科医=にストレスによる新1年生の体調不良や対応法などについて聞きました。

氏家武さん

氏家武さん

小学校は《1》勉強(授業)が中心《2》(幼稚園などより)大人数での集団生活《3》大人(担任教諭)から授業や生活習慣などさまざまな指導を受ける―など、入学前とは環境が大きく異なるため、どの子もストレスを感じています。このうちストレスに弱い子が、心に変調が生じて、体の不調を訴えるようになります。

症状は腹痛や頭痛のほか、発熱、下痢、嘔吐(おうと)などさまざま。病気によるものか、ストレスによるものか判断するのは難しいのですが、学校が休みの週末になると症状が表れない場合はストレスの可能性が高いでしょう。

多くは入学から2~3カ月過ぎると学校生活に慣れ、ストレスを感じにくくなるため、体調不良は治まるとされています。しかし、子どもによっては体調不良が続いたり、不登校につながったりする可能性もあります。

ストレスによる体調不良は、早めの対処が大切。日ごろの子どもの言動から、何かおかしいなと感じたら担任の先生に相談しましょう。不調が長引くようであれば、小児科医や児童精神科医での診察も検討してください。

ストレスへの対策として、親子での運動や散歩をお勧めします。ストレス発散だけでなく、週末に公園で一緒にスポーツを楽しめば、親子の絆も深まるのではないでしょうか。

取材・文/上條憲一(北海道新聞編集委員)

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