男性育休 釧路でも浸透を 経験者が呼びかけ

「男性も育休を取りたい人が取れるようになってほしい」と話す木村雅英さん

女性に比べて男性の取得者が圧倒的に少ない育児休業。取得経験のある釧路市内の男性からは子どもの成長を見られたことへの喜びや、育児の大変さに共感を示す声が上がる。労働分野の制度改正により、10月には「男性版産休」が新設されるなど、父親が育児のために休みやすい環境整備が期待されている。

家族と信頼関係/10月に「産休」新設

「育児は気が安まらない大変さがあったが、育休で家族との信頼関係の土台をつくることができた」。道職員で昨年4月に札幌市から釧路市に転勤した清原章生さん(37)は、5年前の長女の出生と同時に取った1年間の育休経験を振り返る。2歳上に長男がおり、現在は2人の子のピアノの練習をみるのも日課だ。

民間事業所を対象とした道の2021年度就業環境実態調査によると、子が1歳までの育休取得率は、男性は前年度から4.3ポイント増えたものの10.2%。女性は88.2%だった。男性の育休取得率を上げる上での課題として、代替要員の確保や取得できる職場の雰囲気づくりなどが挙がった。

勇気持って一歩

清原さんは育休経験のある男性らと札幌で立ち上げた「パパ育休プロジェクト」の代表も務め、父親の育休取得や家事・育児参加を進めるイベントなどを企画してきた。釧路でも活動の幅を広げたい考えで「『男性は仕事、女性は家庭』という価値観に子どものころから疑問があった。育休をためらう人もいるが、管理職側の意識も変わってほしいし、男性も勇気を持って一歩を踏み出してほしい」と呼びかける。

国は25年までに男性の育休取得率を30%まで引き上げる目標を掲げる。4月には改正育児・介護休業法が一部施行され、企業は育休制度を社内周知し、社員に子どもが生まれる場合は休みを取るつもりかどうかを個別に確認する義務を負う。10月に始まる男性版産休は妻の産休期間に合わせ、子どもが生まれてから8週間以内に、計4週分の休みを2回まで分割して取得できる仕組みだ。

後輩に取得助言

釧路市の老人保健施設で理学療法士として働く木村雅英さん(49)は長男(8)の生後3~8カ月の時、妻の仕事復帰後に育休を取得。職場に育休を取った男性はいなかったが「妻の妊娠中に夫婦で話し合い、制度として男性も取れるので取ろうと思った。普段から気軽に相談しやすい上司だったのも良かった」と振り返る。

子どもが寝ない時などは育児の大変さを痛感したが、離乳食を初めて食べさせ「子どもの成長が見られて良かったし、息子が父親になったら育児のことも伝えられるかな」と笑顔を見せる。夫婦どちらでも子どもの世話に対応できるよう努め、行事や面談にも一緒に出向く。後輩の男性職員には育休取得を助言することも。「育児は1人に任せると大変。女性側も『育児は女性がやるもの』と思い込まず、男性を積極的に迎え入れて」と力を込める。(伊藤美穂)

(2022年2月21日 北海道新聞朝刊掲載記事)

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