#11|<からすたろう> 不得意があってもいいんだよ
「絵本はママを育ててくれる」
札幌で朗読活動を行う谷岡碧さんが、在京テレビ局記者を辞めて移住したタイでの子育てと、日々を支えた絵本についてつづります。「はるくんは、マイペースですね」。幼稚園で長男はよく、こう言われました。「タイ育ちだからかな」と考えていましたが、参観日のたび不安は募ります。運動やお遊戯は大の苦手。1人で、かと思えば興奮し過ぎていたり。理由を探してインターネット検索をしては、息子の発達を「評価」する私がいました。
「発達性協調運動障害の傾向」と分かったのは2カ月前。不器用で運動が苦手なのが特徴だそうです。息子は両目を同時に働かせるのが難しいのですが、訓練で見え方が改善され始め、体が思い通りに動くのがうれしいようです。
トレーナーは言います。「誰にも得意、不得意がある。それが素晴らしい個性です」
不得意なことがあっても繊細な感性で世界を見ていた「からすたろう」は息子と重なります。得意なことに目を向けてくれる先生との出会いが、たろうも、周囲も変えていきます。
長いトンネルを抜け、私は息子のユニークな凹凸を心から喜べるようになりました。苦手なことがあっても、自分を大切にする思いを失う必要はない。あなたの感性を豊かに育てて生きていこう。そう伝え続けるつもりです。
トップ写真説明/息子には自分の「得意」をたくさん見つけてほしい。もちろん私もサポートします(谷岡さん提供)
「からすたろう」
(やしまたろう・作 偕成社)学芸会でたろうが発した声には、小学校で過ごした6年間の孤独が詰まっていたことでしょう。自然への洞察力が優れた彼にとって、山の中で営む家業は天職だったに違いありません。誰だって、社会の中で輝く1人になれるのです。
(2019年2月8日付 北海道新聞「週刊じぶん」掲載)
PROFILE
谷岡 碧(たにおか・みどり)
2007年にテレビ東京へ入社、記者として秋葉原連続殺傷事件や東日本大震災の被災地を取材。12年に退社、チェンマイへ移住しNGOスタッフとして勤務。その後退職し17年に札幌へ帰郷、幼なじみのピアニストとユニット「enets」(エネッツ)を立ち上げ、絵本の読み聞かせとピアノ演奏によるコンサートを続けている。長男(4)と18年4月生まれの長女を育てる母として奮闘中。札幌市出身。
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