連載【0カ月からの育児塾】

泣くのは赤ちゃんのおしゃべり 空腹や不快、寂しさ表現

写真はイメージ(kouta / PIXTA)

まだ言葉が話せない赤ちゃんにとって、泣くことは唯一のコミュニケーション手段です。

北海道助産師会会長の高室典子さん(札幌)は「泣くことは赤ちゃんのおしゃべり。言葉の代わりに、泣くことで気持ちを表現しています。だから、すぐに泣きやませなきゃと焦らなくても大丈夫」と話します。

とは言え、なかなか泣きやんでくれず、困ってしまうこともあると思います。そこで、今回は赤ちゃんの泣く原因と対処法について紹介します。

赤ちゃんが泣く原因は何でしょう。高室さんによると、主に《1》おなかが空いた《2》おむつがぬれている《3》眠たい《4》赤ちゃんのどこかが不快―が考えられます。まずは、その原因を取り除いてあげましょう。

授乳時間の間隔を推察し、《1》が原因と考えられるなら、母乳やミルクをあげましょう。口に近づけても飲まないようなら、別の原因を探ります。《2》の場合、すぐに交換しましょう。

《3》の場合、ぐっすり眠れるよう、明るさや静かさなど環境を整えてあげましょう。高室さんは「抱っこして背中をトントンと優しくたたいてあげると入眠しやすくなります」とアドバイスします。

《4》は、例えば、暑くて泣いてしまうことがあります。赤ちゃんの手足は冷たいので、寒いのかと勘違いして厚着させてしまうケースです。高室さんは「赤ちゃんにとって手足は熱を発散する場所なので、冷たく感じられます。赤ちゃんの暑さ寒さは、おなかに触れて、自分と同じ体温ぐらいであれば問題ないと考えて」と話します。

他にも体のどこかかぶれてかゆい時や、授乳後のゲップが出せない時、便秘などで不快な時も泣くことがあります。

赤ちゃんはとても敏感です。保護者がイライラしていたり、来客中で緊張していたり、初めての育児でオロオロしていると、その感情が伝わって一層ひどく泣いてしまうことも。他人に抱かれ、赤ちゃんが緊張して泣くこともあります。

一方、泣く原因がはっきりわからない場合もあります。「寂しい」「不安」という感情や、「かまってほしい」という欲求で泣くこともあるからです。そんな時は、次のような方法を試してみましょう。

まずは抱っこ。体が密着して赤ちゃんが安心します。「スキンシップを取ると、泣きやむことがあります」と高室さん。他には、赤ちゃんを横に寝かせ、足をトントンと床に付けて遊ぶ方法。気分転換となって、泣きやむことがあります。

ビニール袋をクシャクシャにした時の音を聞かせる方法も。赤ちゃんが好んで反応する音で、泣いていた自分をふっと忘れ、笑ったりすることもあります。

おくるみや大きなバスタオルで赤ちゃんの体を包んであげる方法。赤ちゃんは、体を丸く包まれることで、おなかの中にいた時と同じように安心することができます。そっと抱いてしばらくすると、そのまま眠ることがあります。

いつもと泣き方が違う、母乳やミルクの飲み方が違うなど、何らかの異変を感じたら、病気のサインかもしれないので小児科に相談しましょう。

高室さんは「泣きのピークは生後1~2カ月ごろで、何をやっても泣きやまないことが多い時期といわれています。生後5カ月ぐらいになるとだんだんおさまっていくものです。とはいえ、育児に負担を感じたら、ひとりで悩まず、地域の助産師や子育て支援センターなど周囲にも相談しましょう」と話しています。

こちらの動画では「抱っこして眠った赤ちゃんを起こさないよう横に寝かせるコツ」「スリングの使い方」についても紹介しています。

取材・文/根岸寛子(北海道新聞記者)

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