連載コラム「絵本はママを育ててくれる」第10回
【だいじょうぶ だいじょうぶ】手握り 励ますおまじない
怖がっても悲しんでもいいよ
まもなく5歳になる息子は、人一倍繊細で不安が強いタイプです。膝をすりむけば「傷、治るかな」と気に病み、夜は小さな物音に「おばけかも!」とおびえて、病院では「痛いことしないでね」とお願いするのがお約束。泣かずに幼稚園へ通えるまで1年かかりました。そして、よくこんなことを言います。「お母さん、分かる? 人はいつか必ず死ぬんだよ。死んだらもう会えないの。悲しいよね」
小さな身体いっぱいに不安を抱えている様子に、私は胸が締め付けられそうでした。なぜ? と理由を探したり、自分を責めたり。男の子だからもっと強くなってほしい…なんて思ったりもしました。
この本の主人公も、心配事がいっぱいの「ぼく」。毎日一緒に散歩するおじいちゃんは手をつなぎ、おまじないの言葉をかけ続けます。「だいじょうぶ だいじょうぶ」
不安も悲しみも、そのままでいい。あなたは、ありのままでいい。かけてあげるべき言葉はたった一つなんだ―。以来、わが家もこれをおまじないのように使っています。これから先、痛いことも、悲しいこともきっとあるけど、握った誰かの手が温かければ、きっと何度でも前を向ける。だから、だいじょうぶ、だいじょうぶだよ。
今回登場した絵本
「だいじょうぶ だいじょうぶ」
いとうひろし・作、絵 講談社
大変なことや恐ろしいことは、これから山ほどあると分かりきっているはずのおじいちゃん。なのに、おまじないの言葉をかけ続けたのは、なぜ? 最後に登場する、しなやかに強く成長した「ぼく」の姿が答えなのでしょう。
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