• #10|<だいじょうぶ だいじょうぶ> 怖がっても 悲しんでもいいよ


    「絵本はママを育ててくれる」
    札幌で朗読活動を行う谷岡碧さんが、在京テレビ局記者を辞めて移住したタイでの子育てと、日々を支えた絵本についてつづります。


    まもなく5歳になる息子は、人一倍繊細で不安が強いタイプです。膝をすりむけば「傷、治るかな」と気に病み、夜は小さな物音に「おばけかも!」とおびえて、病院では「痛いことしないでね」とお願いするのがお約束。泣かずに幼稚園へ通えるまで1年かかりました。そして、よくこんなことを言います。「お母さん、分かる? 人はいつか必ず死ぬんだよ。死んだらもう会えないの。悲しいよね」

    小さな身体いっぱいに不安を抱えている様子に、私は胸が締め付けられそうでした。なぜ? と理由を探したり、自分を責めたり。男の子だからもっと強くなってほしい…なんて思ったりもしました。

    この本の主人公も、心配事がいっぱいの「ぼく」。毎日一緒に散歩するおじいちゃんは手をつなぎ、おまじないの言葉をかけ続けます。「だいじょうぶ だいじょうぶ」

    不安も悲しみも、そのままでいい。あなたは、ありのままでいい。かけてあげるべき言葉はたった一つなんだ―。以来、わが家もこれをおまじないのように使っています。これから先、痛いことも、悲しいこともきっとあるけど、握った誰かの手が温かければ、きっと何度でも前を向ける。だから、だいじょうぶ、だいじょうぶだよ。


    トップ写真説明/人一倍不安の強い息子。だいじょうぶ、と感じ取れるまではしっかり手を握り続けます=2017年11月(撮影・松井聡美さん チェンマイ在住、札幌市出身)

    今回登場した絵本


    「だいじょうぶ だいじょうぶ」
    (いとうひろし・作、絵 講談社)

    大変なことや恐ろしいことは、これから山ほどあると分かりきっているはずのおじいちゃん。なのに、おまじないの言葉をかけ続けたのは、なぜ? 最後に登場する、しなやかに強く成長した「ぼく」の姿が答えなのでしょう。

    (2019年1月11日付 北海道新聞「週刊じぶん」掲載)

     PROFILE

    谷岡 碧(たにおか・みどり)
    2007年にテレビ東京へ入社、記者として秋葉原連続殺傷事件や東日本大震災の被災地を取材。12年に退社、チェンマイへ移住しNGOスタッフとして勤務。その後退職し17年に札幌へ帰郷、幼なじみのピアニストとユニット「enets」(エネッツ)を立ち上げ、絵本の読み聞かせとピアノ演奏によるコンサートを続けている。長男(4)と18年4月生まれの長女を育てる母として奮闘中。札幌市出身。
    enets公式サイト

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